1999年11月の「リハ裁判」一審「全面敗訴」判決、そして12月に控訴、また、翌年6月には「解雇無効」の裁判提訴――
と、何となくあわただしい日々を過ごしてきた。
そのような徳見に、99年の暮れ近く、日本人と結婚しているスイスの女性が、チターという楽器をプレゼントしてくれた。チターは、徳見の麻痺した手でも、演奏できそうな楽器なのである。こうして、2000年3月「横浜そごう」内にある「チター教室」に通いだした。
学生時代にはギター同好会に入っていた徳見だったが、職業病のケイワンと頚の脊髄の萎縮による「四肢麻庫」の発症によって、ギターをひくことができなくなってしまった。その4年前の引っ越しに際しては、2〜3台あったギターも処分してしまった。それでも、楽器への思いは捨てがたく、ウクレレなどを買っては、つまびいたりしていたのであった。
チターは、映画「第3の男」の主題曲を演奏した楽器であり、奏者はアントン・カラスというチター奏者の第一人者であり、日本では「チター奏者」はまだ数人しかしない……などという知識を、徳見は教室に通ってから初めて知ったのであった。
「ドイツの森の中でチターをひくと、小鳥たちが集まってきて一緒に歌うのよ」とは、 教室を主宰する内藤敏子先生の話である。そういえば、徳見家の窓辺においてある「小鳥の餌台」には、徳見がチターをひき始めると、キジバトやスズメが集まってくるし、つい先日などは、道志川のキャンプ場近くの林の中でひいていると、カラスが寄ってきて、木の上でカーと鳴いた!
横浜地裁において、「リハ裁判」が全面敗訴となっても、徳見の「日常生活」は(当然のことながら)ほとんど変わることはないのだが、控訴、そして「解雇無効」の裁判提訴などと、何かと「心の準備」を迫られる日々の中で、チターの前に座っている時間は、徳見にとって、心安らぐひとときなのである。
月2回のレッスンに通いだしてから4か月近く、やっと、「曲」らしいものがひけるようになった徳見は、チターをプレゼントしてくれた方に演奏を開いていただくことを楽しみに、日々練習に励んでいるのである(2000年6月)。
「リハ裁判」「解雇無効裁判」などについては、「障労」のページをごらんください。
チターについては、「チター協会」のホームページをご参照ください。
http://www.zither.org/
|