1995年3月6日(月)自主出勤第145日(再開第43日)・自宅療養
 午前中、ホームヘルパーさん。
 自宅で静養。ムクミは大分良くなったが、体重の変動がまだ大きく、夜になると2〜3キロ増えている。
 ハンスト20日めぐらいから急に体温が下がり、ウトウトいねむりをしはじめた。とても気持ち良く、そのまま冬眠しそうな感じだった。冬山で凍死するときは、そんな気分らしいが……。
 まだ死ぬわけにはいかないから、ハンストを中止したが、1か月ほどたった今も、身体は回復せず、頭は半冬眠状態。しかしハンスト中からの料理熱は相変わらず。きっとこれで自然にコントロールしているのだろう。
 そして、今日も台所に立ちすぎて、ムクミが増えてしまっている!

3月7日(火)自主出勤第146日(再開第44日)
 8時、市役所本庁舎前で『自主出勤ニュース No.30』をまく。先週と同様、高校生のナッちゃんが参加。「予備校も決まったし、ビラまきが終わったら、神戸へボランティアに行く」とのこと。今日も冷え切った身体を「ドトール・コーヒー」で温め、学校保健課へ。
 廊下の壁に『自主出勤ニュース』を貼り、中に入る。管理職は金子指導主事だけなので、剥がす人はいないようだ。
 スケットの一人が、「徳見あての手紙が来ていると思いますが……」と学校保健課の職員にきく。「(管理職がいないので)分かりません……」という。
 神戸へボランティアに行くナッちゃんと別れて、関東病院へ。
 田中耕平ドクター「アルブミンの量は回復してきている。しかし、今月中は、自主出勤を週に2回程度にして、少しずつリハビリ……いや、元に戻したほうがよい」と、自主出勤の「リハビリ勤務」を指示される。「リハビリ」と言ってから、徳見の顔を見て「元に戻す」と言い換えるとは、リハセンターの「リハビリ」批判をしている徳見の主張を、よく理解していただいている証拠だ!?
 帰宅すると、星野恵さんからの留守電。学校保健課へ徳見あての手紙を出したが、3通とも「学校保健課には在籍していません」という付箋をつけて、送り返されてきたという。そこで、「なぜ(本人に渡さず)送り返したのか」と、保健課へ電話をしたそうだ。電話に出た職員は、「責任者がいない」と言い、抗議すると、一方的に電話を切ったとのこと。「他の方たちも、どんどん葉書を出せばいいと思う」と星野さん。
 どうやら徳見あての手紙は返送されるようだから、佐藤課長さんや長島課長補佐さんに、手紙を書いてやってください! なお、「当局の目に、すぐにふれるように、ハガキで……」とは、星野さんのアドバイスである。
 読者の皆さんも、星野さんに続いて、学校保健課に紙ツブテの嵐を!

【文例1】佐藤課長様徳見さんを思い切って解雇したご決断に敬意を表すると共に 、ここに至るまでのあなたのご心労は、察するに余りあると拝察いたします。
  さて、現在、徳見に対する対応について、もっとも良い方法をそっと お教えいたしましょう。
  昨年12月の「解雇通告」以来、徳見の側は、1.19の抗議集会やハンスト、署名活動、そして 「障害者の労働問題を考える会」と、着々とその運動の基盤をつくりつつあります。
 そうなると、単に徳見一人の解雇問題にとどまらず、横浜市の障害者施策そのものへの批判へと広がり、その実態が広く世間に知られることになるでしょう。
  これは、市にとって、きわめて不名誉な結果をもたらすはずです。
  したがって、徳見の運動基盤が確固たるものになる前に、徳見と支持者たちを切り 離すための手を打たなければなりません。
  その最もよい方法は、とりあえず、いままでのメンツを捨てて、職場復帰をさせることです。
  すると、あなたは、「福祉の街・ヨコハマ」を実践した課長という名声をほしいままにすることでしょう。
  その上、「解雇撤回」を掲げてきた「運動」は、その目的を失い、一時的な「勝利 」をうたいあげただけで消滅するでしょう。
  課長さんにとって、一石二鳥だと思います。ぜひご検討のうえ、今後のご活躍をお祈りいたしております。

【文例2】長島課長補佐様
『自主出勤ニュース』などで、「徳見は教育委員会によって、いじめにあっている」と主張しているようですが、そのような主張を一方的にされて、黙っていていいのでしょうか。
  しかも、「机」のまわりのバリケードやら、「禁煙」の貼り紙など、長島さんへの一方的な批判ばかりで、まるで悪人扱いです。もっとも、そんなつまらない対応ばかりするから、批判を許してしまうので、この際、正々堂々と、『自主出勤ニュース』なるものに対して、反論したほうがよいのではありませんか。
  そこで、ぜひ『反・自主出勤ニュース』をお作りになってください。そして、「車イスで仕事をしたい」という徳見の言い分の間違いを指摘し、世の中に向かって、学校保健会そして横浜市教育委員会の正しさを主張し、訴えてください。
  「教育」に携わるオトナたちを信じている子どもたちのためにも、ぜひよろしくお願いいたします。

3月8日(水)自主出勤第147日(再開第45日)・自宅療養
 自宅で静養。午前中、ヘルパーさんと共に、先日中華街で仕入れた材料を使って、シューマイづくりに取り組む。本にある通り、エビ・豚ひき肉・貝柱など、材料・方法ともに、手抜きをせずに……。
 2〜3種類をつくったのだが、いずれも、徳見の味覚にはマッチせず、ちょっとガッカリしてしまう……(それとも「崎陽軒」の味に慣らされてしまっているためか……?)。

3月9日(木)自主出勤第148日(再開第46日)
 夕方まで自宅で静養。
 5時、『自主出勤ニュース No.30』を、教育委員会の入っているビルなどでまく。
 身体の具合を心配して声をかけてくれる人。「先週号をもらえなかった。残念……」という人。「(『ニュース』に書いてあることは)本当にあったことなの? とても信じられない!」と、本人を前にして思わず叫ぶ人など、今週もいろんな人との出会いがある。
 「なるべく家で安静に……」というドクターの指示だが、ビラまき後、「脳死・臓器移植に反対する市民会議」の世話人会に出席すため、駒込(文京区)の「こもん軒」へ。
 車中でオナカが少し痛くなる。「断食後当分の間(2か月くらい)、油ものは胡麻油少々程度……」と言われているのだが、最近「中華料理」にこっている徳見は、下味・かくし味の胡麻油や油身の少ない肉など、気をつけているつもりなのだが、それでも油のとりすぎらしい。しかも、今日は、脂のたっぷりのった鮭のハラスが弁当に入っていた。多分、腹痛もそのためだろう。
 9時、会議終了までには、いつのまに腹痛もかおさまってしまう。

3月10日(金)自主出勤第149日(再開第47日)・自宅療養
 午前中、ホームヘルパーさんと「ちまき」づくりに取り組む。昨夜から下ごしらえをし、朝から作りはじめて、最後に竹の皮に包んで蒸しあげたころには、日が暮れかけていた。「中華街で買えば、一個700円はする」ほどのでき栄えだが、こんなに手間のかかる料理を、もう一度作る気になるかどうか……?
 そして、「気分転換に……」と、買い物に出て、またまた料理の材料をしこたま買い込んでしまった!
 おととい、「当局に手紙を出したが、返送されてきた」と報告してくれた星野さんから電話。「これからも、毎日、手紙を出し続けるつもり」という。「今度は、返送されないように、差出人の住所を書かない」とのこと。
 横浜市が差別行政を反省するまで、出し続けるという。徳見の命がけのハンスト23日間は、市民の「心」をゆり動かしている。いろんなところで、いろんな形で動きはじめ、どんどん波紋が広がる気配がする……。

補足 3月11日(土)〜12(日)
 14:00「文京区勤労福祉会館」へ。「脳死臓器移植に反対する市民会館」主催の「市民講座」に参加。篠原睦治先生の講演と質疑応答の後、「脳死臓器移植に反対する全国連絡会」にも出席。全障連の富山さんを大森まで送って、9時過ぎ帰宅。
 翌日は、昼過ぎに出て、大口商店街で花を買い、「東京女子医大産婦人科医療過誤訴訟」原告の平栗さんの見舞いに、「虎の門病院」へ。5時ごろ帰宅。
 コーヘイ先生の指示通りに「静かに静養」することは、なかなかできないけれど、この調子なら、「コロッと行く」心配はたぶんないだろう……。

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