1995年2月13日(月)自主出勤第130日(再開第28日)
午前中ホームヘルパーさん。午後、関東病院で診断を受ける。尿・血液・心電図など。さまざまな検査をし、今日も自主出勤の時間がなくなってしまい、自主欠勤。
補足 先週金曜(10日)の夜、血液検査の結果が知らされ、ハンストはドクター・ストップがかかって、23日で中止となった。夜中、おそるおそる「おもゆ」を口にしたら、身体が受けつけず、もどしてしまう。内臓の働きが完全にストップしてしまっているのだ。
土曜(11日)、食事はおもゆだけ。しかし、まだ体が十分に受け付けないらしく、夜、おもゆを吐いてしまう。
日曜(12日)、知人が玄米を差し入れしてくれたので、おかゆを作り、ゆで野菜・梅干などを少しずつ食べる。
とにかく、相当体力が落ちているにもかかわらず、暇さえあれば!? 料理本などを見て、自分は食べない料理を作り、同居のスケット(2名)に食わせるのだ!
2月14日(火)自主出勤第131日(再開第29日)
8時、市役所本庁舎前で『自主出勤ニュース No.27』をまく。公聴課の佐藤係長が、わざわざ「ビラをください」とニコニコしながら役所から出てきて手を出す。先週金曜日に「市長への要求書」の回答を、連絡もなしに延期し、小山さんや徳見の抗議を受け、「来週末までには必ず出します」と確約した。彼のやったことが、いかに非礼なことか、そしてそのいいかげんな対応を追求されたのに、全くこたえていないらしく、その顔には反省のひとかけらもない。
出勤して、広げられたダンボールや紙包みを整理して、いつもの位置につく。支援者の鈴木愛子さんがフラッシュで写真を2枚ほど撮ると、そばにいた長島課長補佐が、いきなり「やめなさい!」と一喝する。その声に、鈴木さん「すみません」とあわててカメラをしまう。
「なぜ、いけないの?」という徳見の質問に、「我々は、仕事をしているのだ。じゃまだから、出てください」と言う。「実力で追い出せば……」という徳見の言葉に、「あんた、そんなふうにして、ヒトをバカにしてるんだ……!」とひどくひがみっぽく訴える。
理屈も何もなくクビにするから、自主出勤に対して断固たる態度がとれず、いじましい「いじめ」しかできないのだ。机の上や周りにダンボールを積み上げて使えなくしたり、徳見への意地悪で「禁煙」の紙を貼ったのはいいが、結局自分がエレベータの前でタバコを吸うハメになったり……。
管理職たる長島さんの「仕事」はこんなものではなく、徳見の要求にきちんと応え「身体の状態に合った業務の提供」であるはずだ。
17時、教育委員会ビル前でビラまき。長島さんは外へ出て、また入ってくるが、いずれも、体を斜めに、顔をうつむけにして、逃げるように通り過ぎてゆく。よほどこちらの顔を正視できない事情があるらしい。
佐藤課長は、『ニュース』は受け取ったものの、怒りに燃えた顔つきで正面を見据えたままだ。「お疲れさま!」と声をかけても、ピクリともせず、通り過ぎる。やはりこちらを正視できないらしい。きっと顔を見ると殴りたくなるので、自制しているのだ! いつ爆発するか楽しみだが、徳見に手を出すと「リハセンターで起きたような事故が、また起きる心配かある(これも徳見の職場復帰を認めない理由の一つだと、佐藤さんはおっしゃる)」から、それもできないので、よけいに怒っているのだろう!?
2月15日(水)自主出勤第132日(再開第30日)
午前中ホームヘルパーさん。
午後出勤すると、管理職は佐藤課長のみ。例によって「机」の上や周りには紙包みなどがおかれてある。今日も、それらを机の下に置いたりして、徳見の居場所を作る。どういうわけか、これらの荷物を動かしても、当局は何も言ってこない(長島課長補佐の「仕事」らしい)。
ヒマを見て、スケットが公聴課へ。昨日、小山さんが「直接届けて欲しい」と電話したにもかかわらず「郵送した」ということについて、釈明を求めに行く。
応対に出た佐藤係長、高飛車に「どうして郵送してはいけないのか!」と声を荒げる。「(回答が遅れると)あんたたちがうるさいから、昨日郵送したまでだ!」と激しい口調だ。
先週(10日・金曜日)、徳見と「青い芝」の小山さんへの対応とはうって変わって、むきだしの居丈高な態度だ。「とてもかなわない」と、一市民にすぎないスケットは、何も反論できず、逃げ出してしまう。
「どうしても1週間以上はかかる」「さらに延期もありうる」と言いながらも、小山・徳見の強硬な抗議に、なんと3日後の月曜日にはできてしまったのだ! 強いものにはインギンに、弱いものには高圧的になる「役人」の体質を見たような気がする。
4時退庁して、明日の「リハ裁判」の準備にかかる。
2月16日(木)自主出勤第133日(再開第31日)
第13回「リハ裁判」のため、自主出張。今日は「学校保健大会」だから、学校保健課もほとんど人がいないはずだ。
朝、「抗議・要求書」の当局の回答を、小山さんから受け取る。
身体障害者の雇用については、「『基本方針』に基づき、着実に推進している」「今後とも雇用の拡大に努力する」として、「健常者並みに働ける障害者の数を増やせばよい」という市の方針を説明するだけだ。「自力通勤・自力勤務という条件の中で、障害が重度化したらクビ」という市の「障害者使い捨て政策」の中身については、知らん顔だ。
徳見の解雇問題については、「学校保健会として慎重に検討し、最終結論を出した」「現在の体の状態、業務内容を合わせて検討した結果、『自力通勤・自力勤務』ができず、歯科衛生士として学校での歯科巡回指導は不可能であるため、勤務条件に関する規定に基づき免職した」という従来からの説明を繰り返すだけだ。
「なぜ車イスや補助具、介助者をたのんで仕事をしてはいけないのか」という質問には、今まで同様、全く答えようともせず、どのように検討したのか、具体的な内容も、何も明らかにしない。
おそらく、実際には「何の検討もしていない」学校保健会常務理事・教育委員会学校保健課長佐藤さんの書いた回答だから、答えられないのは当然かもしれない。
とはいえ、「健常者は障害者になったらクビ」「障害者は障害が重度化すればクビ」という市の雇用政策は、一人徳見だけの問題ではなく、市職員すべてにかかわることのはずだ。
2月17日(金)自主出勤第134日(再開第32日)
午前中ホームヘルパーさん。
昼ごろ関東病院へ。一昨日あたりから、足がむくんで、ひどく冷たい。医者の診断によると、「(断食後の補食による)反応のひとつ」とのこと。
2時過ぎ出勤する。机のまわりに、例によって紙包みやらダンボールなどが広げられている。いつもながら、長島さんご苦労様。それ以外は、佐藤さんがジロリ、チラリと見る以外は何ごともなく過ぎる。
補足 23日間のハンスト(断食)を中止してちょうど1週間、おかゆの上澄みから始めて、おもゆ、おかゆ、ゆで野菜など、少しずつ量・種類を増やしてきた。水〜木曜日ごろになると、「とにかくオナカがすく」と、おかゆと野菜の煮物などを、「食べ過ぎた!」と言って、ふくれた腹をさするほど食べたりする。これまで「飢餓状態」に置かれていたカラダが、「栄養」を要求しているのだろう。それと共に、足のムクミが激しくなる。関東病院の田中耕平ドクターに報告すると、「すぐに来い」とのこと、「ホントなら、入院すべきだけどなぁ……」と言いつつ、徳見の「闘い」をご存じのコーヘイさんは、いろいろと検査をしたうえで、漢方薬の処方と、今後の生活上の注意点などをアドバイスしてくれる。