1994年5月9日(月)自主出勤第78日
 午前中ホームヘルパーさん。
 2:30校保健課に出勤。
 「徳見の机(来客用のテーブル)」で自主勤務。久しぶりの自主出勤なので、みんなに忘れられてしまったのか、なんとなく「シラッ」として徳見のことはいっさい無視……? それとも、皆さん、連休疲れ?
 いずれにせよ、平穏に、何事もなく、のんびりと自主勤務。4:30『自主出勤ニュース』印刷のため自主出張。

5月10日(火)自主出勤第79日
 8:00市役所本庁者前で『自主出勤ニュース1号』配布。皆さん、いつもより出勤時間が遅いようにみえるのは「連休疲」のせいか?
 今日はじめて、きわめて控えめに、「カンパお願いします」という袋を、徳見の足もとに置く。気がつかない人が多かったのか、カンパ金額は0円。
 生活費の方は、生活保護費の支給で何とかなるはずだが(申請中。支給未定。詳しくは前号参照)、自主出勤闘争と裁判闘争の資金は、今のところ、カンパに頼るしかないのが実情だ。
 とはいえ、徳見の職場復帰を拒否している張本舎(張本人と本庁舎をくっつけて縮めたもの。念のため)前でカンパなどは、まったく無理無駄な行動なのだろうか。それとも、単にカンパ袋が目立たなかっただけなのだろうか……。
 ビラまき終了後、9:00 学校保健課に出勤。「徳見の机」は学校保健課の打合せで使用中。「通路」で自主勤務。
 本庁舎地下の自治労本部で『自主出勤ニュース No.16 』を各支部に発送する作業に出かける。途中市会議員の「出席ボード」を見ると、ほぼ全員が登庁している。きいてみると、1011 時に市議会の「全員協議会」がもたれているという。
  よって、徳見のことを気にかけてくれている市会議員に『自主出勤ニュース』を届ける。
 1130 自主出張。

  自主出張報告  東京地裁。「ダスキン・アイムスという零細企業」でパート労働者として働いていた美吉祥子さんは、「同じ仕事をしているのに、パートであるという理由で賃金差別を受けている」として、労働組合を結成して闘ってきたが、「有休をとった」ことを理由に解雇されため、裁判を提訴した。
  終了後、横浜市大へ。4.22 の社会臨床学会(社臨)の総会(15 号参照)をきっかけに、市大教授の加藤彰彦(野本三吉)先生が、社臨の精神である「される側に学び、される側と共に」を、この横浜の地で実践したいという思いで始めた横浜社会臨床研究会(横浜社臨)第1 回の集まりである。

5月11日(水)自主出勤第80日 
  午前中ホームヘルパーさん。
  1:40 学校保健課に出勤。阿部前指導主事、きれいに着飾って登場。誰やらにあれこれ「指導」して、ごきげんな様子で引き上げて行く。そんな小さなエピソードを含みつつ、今日も何事もなく平穏に自主勤務。
 もはや徳見は学校保健課において「空気のような存在」になったのか? それとも「嵐の前の静けさ」なのか?
 5:00 『自主出勤ニュース No.16 』を、教育委員会ビルと、隣の関内中央ビルで配布。先週はすけっと係から快く受け取った佐藤課長、今日は2度もすけっと係の前を通ったのだが、「アー」とか「ウー」とか言いつつ、2度とも受け取りを拒否。
 長島課長補佐も素知らぬ顔で通りすぎ、こちらも受け取りを拒否。
 昨日、帰るときに学校保健課の「徳見の机」に置き忘れてきた『ニュース』を、すでに読んでいて、書かれていた内容に不満でもあるのだろうか(それにしても、徳見の「私物」の「忘れ物」を勝手に処分しては困ります! ま、読むのはかまわないけれど……。しかし、当局にとって、こんな『ニュース』などはゴミなのでしょうね)。

 5月12日(木)自主出勤第81日
 1200 学校保健課に出勤。
 「徳見の机」で平穏に自主勤務。
 1:00 すけっと係が、徳見の代理で、民生局に出かける。「リハ裁判」との関わりで、リハセンター関係の資料をもらいに行くのだ。リハセンターは、「第三セクター」として横浜市が設置したとはいえ、実質的には市の施設に他ならないし、担当の民生局としては、それを裁判に訴えている徳見に、資料を請求されたら、どんな対応をするのか、興味津々であったのだが、その報告によると……。
 応対に出た障害施設課の山田さんは、徳見が「リハ裁判」提訴以前から、「公開質問状」等の「交渉」の場に、時々顔を見せ(いつも、一言もしゃべらず、黙ってメモをとるだけだ)、「リハ裁判」においては、原告側の傍聴人として何度か登場したりして、面識があった。
 リハセンターに関する2、3の文書を請求すると、山田さん、何となく困惑した様子をわずかながら見せつつも、表面はさりげなく応答する。
 そして、「資料はある。(どれも)多分一冊しかないので、なくされては困るから貸し出しはできないが、庁舎内でコピーをとるのは差し支えない」と、きわめて「紳士的」におっしゃる(庁舎内のコピーは、1枚20 円で、普通の倍もすることを知っていながら……!?

  5月13日(金)自主出勤第82日
   午前中ホームヘルパーさん。
 1:45 学校保健課に出勤。いつもの通り「徳見の机」で平穏に自主勤務。
 2:10 署名提出のために、秘書課へ向かう。3月31 日・50 名、4月4日・442 名に引き続き、その後今日までの 327 名分を提出する。
 応対に出た、秘書課係長・茂木さんは、「この署名を、市長さんが実際に見ているのか」という質問に、結局は明確に答えることをせず、「市民課がどうの、事務規定がどうの……」という返事だけ。「そんな仕事をして、むなしくはないのか」「市民のための市政をつくるためにも、一緒に考えましょう」という徳見の訴えには、ただ沈黙するのみ……。
 徳見の問題――職場復帰にしても、リハセンターでの「できごと」にして、市の「官僚機構」は、一切誠意ある対応をせす、市長の名のもとに、責任もとらず、その場しのぎのうそ、ごまかし、言いくるめをしてきた。
 徳見をリハセンターから追い出し、職場から追い出し、市長の名のもとに「生活保護を受けよ」と言う。「追放」と「保護」をセットにして、障害者を「社会」から隔離する政策である。
 その市長の責任を追求したい。そのために「市長にあわせよ」と要求する徳見に、市の官僚機構(行政権力)は、ガンとしてそれを認めようとしない。
 学校保健課に戻ると、佐藤課長がコピーをしている。終わったところをつかまえて市長への分と同じ署名を提出する。
 「先日の『弁明の機会』以後、どのような検討をしたのか」という徳見の問いに、課長「もう一度、話を聞く機会を設けるかも……」という。「話……? 交渉でしょう!」というと、「交渉はしないと思いますよ」と、煮えきらないことをきっぱりと言う。徳見の「解雇」はすでに決まったかのようだ!
 4:30 切り上げて退庁。


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