第1 申立の趣旨
別紙目録記載の当事者間の平成17年 ( )第 号雇用関係確認等請求上告兼上告受理申立事件について、訴訟上の救助を付与する。との決定を求める。
第2 申立の理由
1 申立人は、平成12年6月2日、横浜地方裁判所に相手方に対する雇用関係確認等請求事件を提起し、訴訟救助の決定を得て訴訟を進めたが、平成16年2月13日に請求棄却の判決を言渡され、その後東京高等裁判所に控訴し、訴訟救助の決定を受けて訴訟を進めたが、平成17年1月19日、申立人の控訴を棄却する判決が言渡された。
申立人は、この判決を不服として、本日、上告及び上告受理申立の手続をした。
2 この事件は、申立人が労災及びリハビリ訓練中の事故により、障害者になったことを理由に解雇されたことが無効であるとして争われてきたものであり、1審の審理の過程では、裁判所から再三原職復帰を促す和解勧告がされたが、判決では、一転して申立人の復職は困難であるとして解雇を正当とした。
その理由は、車椅子での歯科清掃検査自体を困難であるとする相手方の主張は退けたものの、申立人の左上肢が口唇に触れるなどの職務に耐えないと判断したもので、訴訟の争点をはずれたところについて、申立人の反証の機会がないままに一方的な判断をしたものである。
3 これに対して申立人は、控訴審では、新たに申立人が歯科清掃検査を行っている場面をビデオで写して職務の遂行が困難でないことを立証した。
すると、控訴審判決では、1審が認めた車椅子による着席したやり方での検査の実施自体に疑問を提起し、「多人数かつ多様な児童について与えられた時間内に検査を終えなければならないことから、迅速かつ的確に検査する必要がある」ことを強調して(同判決4、5頁)、「右手だけでなく左手をはじめ身体全体が的確な検査のために有機的に連動しなければならない」として抽象的に身体の完全性を要求し、さらには障害者の就労のための環境調整義務を「独自の観点から新たな要件を付加するもの」と決め付けるなど(6頁)、障害者雇用の常識的な考え方について一顧だにしないきわめて不見識なものであり、差別を禁じ勤労の権利義務を規定する憲法に違反し、かつ法令解釈に関する重要な事項に関する判断を誤るものである。
よって、最高裁判所において申立人が勝訴する見込みは十分にある。
4 相手方から解雇されたことにより、障害を持ち車椅子生活を余儀なくされている申立人は、無職無収入の生活であり、現在生活保護を受給中であり、生活の余裕はない。
5 訴訟救助は、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するための重要な制度である。1審、2審判決の存在を過大視して訴訟救助に消極的になるようなことがあれば、申立人のように経済的窮地にあるものの司法的救済は困難になり、ひいては司法への信頼自体が揺らぐことになりかねない。
6 よって、申立人に対する訴訟救助決定を求める。
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