長島調書(反対尋問) 速記録 (平成14年7月4日 第7回口頭弁論) 事件番号 平成12年(ワ)第2100号 証人氏名 長島清 原告代理人(森田) 経歴について簡単に伺いますが,卒業した,大学なら大学,及びその学部はどちらでしょうか。 それは必要なんでしょうか。 被告代理人 異議です。関連性がないと思います。 原告代理人(森田) 福祉に関係があるかどうかだけ確認したいから,それだけ聞いているだけで,くどくど聞くつもりはありません。 裁判長 聞いてください。 原告代理人(森田) どうですか。 関係ございません。 答えないんですか,あなたは。 いや……。 出身大学を答えられないんですか,あなたは。 答えないといけないんでしょうか。 こちらはそう思って聞いているんですよ。 被告代理人 福祉に関係あるかどうかの質問であれば,そういう質間をなさるべきであって,一般的な卒業大学名の質問はやはり関連性は ないと思います。 原告代理人(森田) そうでしょうか,ごく普通の質間だと思うんですけれどもね。じゃあ答えないなら答えないで結構です,それは。それと事前に御回答いただいた中によれば,あなたは昭和60年6月15日から63年5月11日までの間,横浜市中区役所福祉課地域福祉係に在職していたということですが,それでいいですね。 はい,そのとおりです。 今言った期間,ずっと同じ地域福祉係にいたということですか。 はい,そうです。 簡単に言ってどんな仕事をしていたんでしょうか。 福祉関係の団体あるいは中区の社会福祉協議会の関連の事務,そのほか日赤共同 募金などの事務がございました。 あなたはこの福祉係でどういう立場だったんでしょうか。 係長でございます。 地域福祉係長ですか。 はい,そうです。 この間ずっとそうだったんですか。 はい。 じゃあ今言われた事業について具体的にどういうことをやっていたんですか。 事業といわれると,どういうことでしょうか。 社会福祉協議会とか共同募金とかに関与しておられたというんですけれども,あなたはどういう立場で関与していた,あるいは何をしていたんですか。 係長として職員の事務の統括をしておりました。 もうちょっと具体的にお答えいただけないですか。 直接そう言われても,すぐ思い起こせませんので。 それ以外には,いわゆる福祉関係の業務に従事したということはないわけですね。 はい,ございません。 横浜市職員として以外でもないわけですか。 ございません。 学校保健会についてお尋ねしますけれども,横浜市学校保健会は横浜市の外郭団体であるというふうにいって差し支えないんでしょうか,違うんでしょうか。 外郭団体という意味がよく分かりませんけれども。 外郭団体というのは,言葉としては,法令とか横浜市の法規上もよく使われますよね。 使われることは承知しております。 あなたとしては意味が分からないんですか。 はい。 この裁判で,例えば原告の主張として,学校保健会は実質的には横浜市教育委員会の一部門であって,その運営は市教育委員会の教育行政に組み込まれているとか,学校保健会の財政組織運営は全面的に横浜市ないしは横浜市教育委員会によってなされているという主張をしているのに対して,被告のほうはこれを否定しているんですけどね,これはあなたも違うというお考えなんですか。 はい。 どう違うんですか。 違います。全面的に組み込まれているとかいうことはございません。 じゃあもっと端的に,横浜市と横浜市学校保健会というのはどういう関係にあるんですか。 関連はないとは言いませんけれども,まあ関連のある団体ということでしょうか。 普通のいわゆる外郭団体,例えば土地開発公社とかありますよね,ああいったものよりはむしろ関連性は薄いという認識なんですか。 そういう勤務の経験がございませんので,ちょっと判断できません。 それも分からないというんですか,あなたは。 はい。 甲第4号証を示す 学校保健会の規約です。この第1条に何と書いてありますか,読んでください。 この会は横浜市学校保健会といい事務所を横浜市教育委員会事務局に置くとあります。 規約上,事務所は教育委員会の事務局に置くということになっているわけですね。 規約上はそうですね。 実際は違うんですか。 いや,今事務所は違うと思いますが。 規約が変わっているんですか,この後。 いや,そこまではちょっと気が付きませんでしたけれども。 事務所は違うという認識なんですか。 はい。 教文センターのほうにある部屋が事務所だという認識なんですか。 はい,私はそう理解しています。 それと第2条に,「本会は横浜市立学校の保健に関するものをもって組織し,学校保健関係団体と協力し,学校保健の向上に資することを目的とする。」とありますけれども,この学校保健団体とか,あるいは学校保健の向上というのは,これは横浜市のことをいっているわけですね,違いますか。 いや,その質間の趣旨がよく分かりませんけれども。 何が分からないんですか。 質間の趣旨がよく分かりません。 この第2条に書いてある学校保健関係団体というのは,横浜市の学校保健関係団体のことをいっているんじゃないんですか。 横浜市内にあるということですか,そういう意味ですか。 じゃあ市内でもいいし,あるいは横浜市に関連することでもいいですけれどもね。 要するに学校保健の関係団体の総称ですよね。 あなたの言っていることのほうがよく分からない,どういうことですか,それは。 私も質間の趣旨がよく分かりませんけれども。 端的に,ここの第2条に書いてある学校保健関係団体というのは,どういうものを指すとお考えなんですか。 ……急に言われてもあれですけれども。 第5条のCに,「常務理事は,市教育委員会事務局学校保健課長をもってこれにあて」というふうにありますね。 はい。 これは事実こうなっているわけですか。 はい,そうです。 横浜市学校保健会の職員ですけれども,職員の中に雇われている側としては歯科衛生士の方がいますね。 はい。 それに対して雇う側の職員ですけれども,それは横浜市の職員が兼任しているんではないんですか。 いや,学校保健会の会長です。学校保健会で雇用していますので。 学校保健会の職員のことを聞いているんですけどね,学校保健会の職員は横浜市職員が兼任しているんではないですか。 質間の意味がちょっとよく分かりませんが,私が緊張しているのかどうか分かりませんが。 被告代理人 確かに,雇う側の職員という質問があったと思うんですが,雇う側の職員という概念が代理人も理解できていませんから,証人も理解できていないと思います。 原告代理人(森田) じゃあ学校保健会の職員としてはどういう人がいるんですか。 事務職員が1名,そのほか歯科衛生士です。 事務職員1名というのは,どういう立場の人なんですか。 嘱託です。 その人は。 今現在ちょっと分かりませんけれども,私がいた当時は。 その人は横浜市職員じゃないんですか。 違います。 それと歯科衛生士ですね,その今言われた人たちは学校保健会から給料をもらっているということですか。 はい,そうです。 じゃあ端的に言って,横浜市教育委員会学校保健課の職員が学校保健会の事務について事務処理をするということはないんですか。 いや,これはございます。 あるんでしょう。 はい。 その場合に,横浜市の職員は学校保健会から給料をもらっているんですか。 いや,横浜市の職員ですから,横浜市から給料をもらっています。 そうすると,その横浜市の職員が学校保健会の事務を行うということについては,まああなたもそうでしょうけれども,それは横浜市の事務の遂行だという認識なんですか。 いや,業務の一部,そう理解していました。 何の業務の一部なんですか。 自分の業務の一部。 横浜市職員としての業務の一部ということですか。 学校保健課の業務の一部。 だからそうするとあなたはどういう立場で学校保健会の業務をやっているわけですか。 それは理事としての立場です。 被告学校保健会の事務処理のための書類,会計関係あるいは業務関係があると思うんですけれども,それはどこにあったんですか,あなたがいた当時。 学校保健会の事務所,あるいは保健センターにございました。 その場合の学校保健会の事務所というのはどこを指しているんですか。 教育センターの地下でございます。 保健センターというのはどこを指しているんですか。 桜木町にございます健康福祉総合センターです。 横浜市学校保健課の職場にはないんですか。 個人的なファイルはあるかもわかりません,私も持ってましたから。 じゃああなたが持っていた個人的な被告学校保健会に関するファイルというのはどういうものなんですか。 それは単に綴って自分の手元に残しておいたものです。 甲第1号証を示す これは御存じですか。 はい,承知しています。 被告学校保健会の勤務条件に関する規程ですけれども,この規程の中で,例えば第4条あるいは第5条の規程ですけれども,横浜市一般職職員の例に準じてといった規程がありますね。 はい。 要するに,労働条件については横浜市職員に準ずる扱いをされていたんじゃないんですか。 給与,勤務条件はそうですね,勤務時間等ですね。 それ以外は違うということですか。 記載のとおりでございます。 ちょっと今のことにも関連しますけど,いわゆる原告が自主出勤ということで平成6年1月から学校保健課の部屋のほうに行っていた時期がありますね。 はい。 あなたは陳述書でも証言の中でも,学校保健課に来たことが筋違いではないかといった証言をしているかと思うんですが,そういう趣旨なんでしょうか。 学校保健会に自主出勤するということでしたら違うんではないかと思います。 そういう趣旨で証言されたわけですね。 (うなずく) ちょっとそれがどうしてかと思うんですが,徳見さんとしては自分が働ける能力があるから雇用を継続してほしいという意味で行ったわけですよね,徳見さんの希望としてはね,それはいいですね。 そうですか。 そういうことで行くとしたら,あなた方のいる学校保健課に行かないと意味がないんじゃないですか。 それは御本人の御自由ですので。 御自由じゃなくて,筋違いじゃないかというニュアンスでおっしゃっているから聞くんだけれども,学校保健会の事務所がある例えば教文センターに行ったとしても,そこでそういうことについて訴える相手というのはいないわけでしょう。 それは,では,出勤と違うんではないでしょうか。 いるかいないか答えてくださいよ。 すみません,もう一度お願いします。 徳見さんの雇用を継続するかどうか判断することができる人がいるんですか,いないんですか,教文センターのほうに行ったとして。 いるかいないかと言われればいないと思いますが。 解雇の経過について伺いますが,あなたの書かれた乙第39号証の陳述書というのは分かりますね。 はい。 その2ページの7行目に,あなたが着任した時点で原告は学校保健会での歯科衛生士としての業務には耐えられないようだということでしたというふうに書いてあるんですが,それはよろしいですね。 はい,そのとおりです。 で,この耐えられないようだということでしたということなんですけれども,これは前任者からの引継ぎの内容という理解でよろしいんでしょうか。 はい,結構です。 この時点で被告学校保健会としては原告が業務に耐えられないということについての一定の判断をしていたということなんでしょうか。 いや,これは引継ぎでそういう概要を聞いたということです。私自身もその段階 で引継ぎを受けても状況がよく分かりませんので。 そうすると,あなたとしては,本当に業務に耐えられないのかどうか,どうなんですか,そこは白紙の状態で検討を始めるということなんですか。 白紙というよりも徳見さんの状況も全く私知りませんでしたので,引継ぎではそういう引継ぎを受けました。 そういうふうに聞いたというだけということですか。 そういうことです。 それでまああなたが着任した後,平成5年12月27日に被告学校保健会で臨時部会長会が開かれて原告の件が議論されたということですね。 はい。 まずこの臨時部会長会という組織なんですけれども,これは規約上の組織なんでしょうか。 甲第4号証を示す 規約ですけれども。 規約の細かいところまですみません,今記憶がございませんけれども,少なくとも私が着任以前から部会長会ということで開催はされ てきています。 ちょっと規約上,直接,当たるものはないように思ったんですけれども,特にそういうことは意識していないわけですか。 はい,慣例で行われてきている経過がございました。恐らく慎重に議論するような場合には部会長会として会議を開催してきたんでは ないかと思います。 その部会長会なんですが,この甲第4号証の規約の第6条に部会という規定がありますね。 はい。 ここに書かれている部会の部会長,それと会長,副会長から構成されるということなんですか。 いや,この規約上の部会とイコールかどうかというのは,ちょっと私も今の記憶の中ではちょっと判断しかねます。 分からないんですか。 はい。現実に部会長会として過去にもずっと開催されてきた経過がございますので。 そうするとこちらが聞きたいのは,まず部会長会というのは会長と副会長が入っているわけですね。 はい。 それ以外にだれが入っているんですか。 各部会の会長さんですね。 じゃあそこにいう今言われた部会の会長さんというのは,この規約第6条による部会の会長さん全員ということなんですか。 いや,この部会がそうなのか,すみません,今ちょっと言われても,私も判断つきかねます。 この第6条に書いてある部会というのは,あなたがいた当時存在していたことは間違いないんですか。 …………。 8つですかね,書いてあるのはね。 この部会はございました。 その部会長全員が入ったものなんですか。 部会長さんを対象としています。 いやいや,だから要するに,正副会長と第6条に規定する各部会の部会長全員から構成されるという,そういう理解でいいんですか。 はい。 それ以外の構成員というのはないんですか。 ございません。ただ常務理事は出席はしております。 当時の部会長会のメンバーの中で医師の資格を持っている人はいたんでしょうか。 医師というと,どこまでを言うんでしょうか。これは部会で見ていただければ、学校医部会,学校医の内科の先生ですね,あるいは眼 科の先生。 そう言われても分からないわけですよ,我々も。学校医部会と言われると,それが当然内科の先生かというのは分かりませんから,ちょっとそれを言ってください。 ですから医師かどうかというふうに聞かれますと,どこまで言うのかというのは私もよく分からないんですが,要は学校医部会は内科 の先生ですね,それから眼科の先生,耳鼻科の先生,歯科の先生,薬剤師の先生,校長先生,養護教員,それからPTAの。 そうすると,例えばここに第6条に挙げられている学校医部会の部会長,それと学校眼科医部会の部会長,学校耳鼻咽喉科医部会の部会長というのは,それぞれその分野の医師であると,学校医部会は内科ということですね。 はい。 それと学校歯科医部会の会長というのは歯科医だということですね。 はい。 学校医部会の部会長さんは内科医だということですけれども,そうすると例えば整形外科の医師というのはいないわけですね。 いらっしゃらないと思いますが。資格の面ではちょっと私分かりかねますけれども。 内科医とあなた言ったでしょう,さっき。 医師の先生でもいろんな資格をお持ちの先生がいらっしゃると思いいますので,断定はできないかと思いますが。 あと,学校保健会の会長さんというのはお医者さんなんでしょうか。 当時は学校医部会の部会長さんが会長さんでいらっしゃいました。 そこは兼ねていたわけですね。 はい。 内科医か正確に分からないとおっしゃるから聞くんだけれども,その会長であった先生は何とおっしゃる方ですか。 手塚さんです。内科の医師には間違いありません,学校医部会ですから。 それと規約の第8条に顧問及び参与という規定があるんですけれども,当時,顧問あるいは参与という人はいたんでしょうか。 たしか2人ほどいらっしゃったと思いますが,お名前は記憶ございません。 その人たちは部会長会に出席するということはないんでしょうか。 ございません。 それでその臨時の部会長会が平成5年12月27日に開かれて,まずそのときに出席したメンバーなんですが,これは今言ったメンバーは全員出席したんですか。 いや,全員かと言われても,ちょっと記憶がございませんけれども,ほとんどの方が出席されていると思います。 これは原則,全員出るものなんでしょうか。つまり何かその問題に関連のある部会の人だけが集まるという性質のものではないんですか。 基本は全員の方ということですが,何人以上出なきゃいけないとかいう,特にそういう決めはございませんでした。 そうするとこの12月27日の会議も,特別人数が少なかったという記憶はないということですか。 それもないです。 で,このときに徳見さん,原告に対して診断書の提出を求めることを決めたということですね。 はい。 この時点では部会長会の考え方としては,雇用を継続するかどうかについて判断できる材料は不十分であるという認識だったんでしょうか。 はい,そうです。 このとき既にある,それまでずっと休職が続いていましたから,それに関する診断書等はあったわけですよね。それを基に結論を出そうというような議論はなかったんですか。 それは私の着任前,たしか平成4年当時ですから,復職の当時はたしか平成4年の4月ぐらいだったと思いますけれども,就業は困難 であるという,たしか診断書があったと思いますけれども。 いやいや,お聞きしているのは,飽くまで平成5年12月27日の会議のときに,それまでの資料を基に解雇について判断できるかどうか,そういう議論がされたかどうかという,その12月27日の会議の内容のことなんです。 そこが議論があったかどうかまでは覚えておりませんけれども,今までの経過の中でも診断書の提出をお願いをして,その診断書の 提出によって,職場復帰の判断をしようという,ずっとそういうスタンスでしたから,したがってそのときも,改めて診断書の提出をお願 いしようということになりました。 まず診断書を出してもらってから議論をしようというふうに理解してよろしいでしょうか。 はい,結構です。 乙第30号証を示す これは平成4年4月8日の時点での杉井医師の診断書なんですけれども,これは以前出ていた診断書ですね。これについてはあなたの着任前ですけれども,どういう理解をされていたのか,つまり就労の可能性について。そのことについては何か聞いていますか。 先ほどの引継ぎで受けたとおりです。 この診断書を基に,先ほどのような引継ぎがされていたということですか。 いや,診断書を特に見せてということじゃないですけれども。 そういうことだろうとあなたが理解したということですか。 はい。 平成5年12月の後,平成6年3月8日に臨時部会長会を開いたということですね。 ちょっと日にちの記憶が。 乙第39号証を示す あなたの陳述書ですけれども,この中で平成6年3月8日に臨時部会長会が開催されたということですね。 はい。 これは2月8日付けの診断書が提出されたということですね。 はい。 それについて検討したということですか。 はい,そうです。 そのときは結局,この診断書では不十分であるということで本人の話を聞くことになったということでよろしいんでしょうか。 はい,記載のとおりです。 それで3月17日に弁明の機会ということで時間をとったわけですね。 はい。 あなたの認識ですと,これを徳見さんは拒否したということなんでしょうか。 はい,そう理解しています。 この拒否というのはどういう意味なんですか,当日行かなかったということなんですか。 いや,その前に,出ませんという意思表示がたしかされていたと思います。 行くについて条件を出したということじゃないんですか。 いや,そうは理解していません。 これは実際,当日徳見さんはその場所に行ってみているんですけれども,そのことは御存じないですか。 承知していません。 弁明の機会がなしになったという通知は徳見さんあてにはしているんですか。 いや,本人から意思表示がありますので,しておりません。 意思表示というのは具体的にどういう形でどういうふうにされたんですか。 たしかこれは直接は常務理事のほうに文書等を持っていかれたと思いますが。 原告のほうはそういう出頭拒否という意思表示はしていないということなんですけどね,あなたはそういう認識だったということですか。 はい,そうです。 それで結局この3月17日は弁明の機会ではなく臨時部会長会になったということですね,会議だけをしたということですね。 いや,役員会じゃないですか。 役員会にしたということですか。 はい。 そうすると,この役員会というのはどの範囲の人が集まっての会議なんですか。 会長,副会長でございます。 会長,副会長の役員会で,このときに,もう一度診断書の提出を求めることにしたわけですか。 はい,そうです。 それはどういうことで,そういうことになったんでしょうか。 どういうことというのが,ちょっと質問が分かりません。 どうしてと言えばいいんでしょうか,どういう議論の結果としてそうなったんですか。 要は内科的な診断ではこれでは判断できないと,したがって,もう一度改めて徳見さんの体の状態が分かるような診断書を提出して いただこうと,そういうことです。 その前の時点の臨時部会長会では,診断書が不十分だから本人の話を聞いてみようということに,いったんなったわけですよね。 …………。 診断書の記載が不十分だから弁明の機会を設けようということになったんじゃないんですか,その前の段階では。 ちょっとすみません,時系列がちょっと。 要するに,最初に徳見さんが出した診断書が内科的なものだから不備であるということで,3月8日の臨時部会長会では本人の話を聞こうということになって,3月17日に弁明の機会を設けたんですよね。まあいきさつについての認識は食い違うけれども,弁明の機会自体は流れちゃったわけですよね。それを踏まえて,じゃあ今度はもう一度本人の話を聞くということではなくて診断書を出すというほうをもう一回やってもらおうと,そういうことになったわけですか,流れとしては。 ちょっとすみません,時系列がちょっと。 そんな難しいことを聞いているつもりはないんですけれども,ただ聞きたかったのは,役員会という,臨時部会長会よりはもうちょっと狭い範囲の議論で今後どうするかということを話した場合に,本人の話を聞こうという方向を更に追求するのではなくて,診断書を出してもらおうという,まあ方向が変わったわけですよね。だからそこがどうしてかなということを聞きたかったんですけれども。 診断書を出してもらって,変わったというのはどういうことでしょうか。 だからその前の段階では本人の話を聞いてみようということだったんでしょう。 いつの話でしょうか。 3月17日の議論の内容を聞いているわけですよ。 弁明の機会の日ですね。 弁明の機会が流れて役員会になったと。 はい。 そのときに診断書を出してもらおうということになったというわけですけれども,その前までは本人の話をまず聞いてみようということになっていたわけでしょう。 はい。 それが方向転換したわけですよね。 方向転換というよりも,診断書をきちっと出してもらいましょうと。 乙第32号証を示す それでその方針を踏まえて出されたのがこの通知ですね。 はい,そうです。 これによると,要するに以前出された診断書では勤務が可能かどうかについては判断できないから,掛かりつけ医又は公的医療機関で整形外科医による診断を受け,勤務が可能かどうかについての診断書を提出してくださいという趣旨での依頼をしたわけですね。 はい,この通知のとおりです。 それでこのときに求めていた診断書というのはどの程度の詳しさというか,を想定したものなんでしょうか。 特に想定というよりも,前回出てきたのが内科的な診断ということですから。 整形外科医による診断書であれば,特に内容について注文を出すつもりはなかったわけですか。内容というか,細かさですね,そういう面での内容ですけれども。 それはあとは診断書の状況によって役員の人に判断してもらうしかありません。私は医者じゃありませんので。 つまり診断書といっても,普通の紙1枚に数行書いてもらう形と,例えば交通事故の場合の後遺障害の認定のための診断書であるとか,身体障害者等級の認定のための診断書というようなものについてはもっと詳しい項目がありますよね。ああいったものを想定したものではないわけですか。 いや,特にそういう議論はございませんでした。 とにかく整形外科医に書いてもらおうということですか。 はい。 ただ,それにしても3月22日の日付で発せられて,3月31日午後4時までというのは,期間としてちょっと短すぎるんじゃないかと思うんですが,どうでしょうか。 それはあるかも分かりませんけれども,やはり早い時期に提出していただいて,学校保健会としても,その対応を図るということもござ いました。 乙第33号証を示す それでこの診断書を3月31日に原告が提出したということですね。 はい。 4月6日に臨時部会長会をまた開いているわけですね。 はい。 このときにこの診断書について検討したんでしょうか。 そうです。 この診断書についてはどういう意見が出たんですか。 前回お話ししたとおりです。 余り内容を聞いていないと思うんですけれども,どういう議論がされたんですか。 ですから,勤務は無理なようだと。 それでその時点で結論を出したわけではないんですか,それとも一応の結論は出したんですか。 いや,結論は出ておりません。 そうするともうこれで解雇するという前提での弁明の機会ということではなくて,事情を聞いた上で判断しようという意味での弁明の機会を設けたということですか。 はい,前回も御説明したとおりです。 この診断書の記載内容について,杉井医師に問い合わせをしようというような話にはならなかったんですか。 そういう議論はなかったと思います。 なかったんですか。 と思います。 断定はできない。 古いことですので,断定はできません。申し訳ございません。 このときの臨時部会長会の出席者ですけれども,余り細かくは分からないかもしれないけれども,おおむね大体の人は出ていたというふうに理解してよろしいんですか。 はい,そう理解して構わないと思います。 ちょっと確認ですけれども,4月6日の会議というのは臨時部会長会ですか,臨時役員会ですか。 すみません。日にちと会議がちょっと一致しませんので,申し訳ありません。 乙第39号証を示す 陳述書上は,4月6日に臨時役員会が開催され,というふうになっているんですけれども,この記載からすれば役員会というふうに理解してよろしいんでしょうか。 はい,結構です。 そうするとこのときに出席されたのは,会長,副会長は複数でしたかね。 はい。 2人ですか。 当時はたしか3人ですかね。 じゃ,その副会長さんも全員参加されたと。 全員いらっしゃったかどうかはちょっと,この当時いろんな会議いろいろやって ますので,そのほか常務理事も,私も出ています。 その4月6日の臨時役員会で,もう一度弁明の機会を設けようということになったわけですね。それでそのもう一度弁明の機会を設けようということになったのはどうしてなんですか。 やはりこれも前回御説明したとおり,本人の身分にもかかわることですし,本人からも状況を聞いて判断をしようということです。 それで4月25日に弁明の機会というのを設けたわけですね。 はい。 確認しますけれども,この弁明の機会に,被告学校保健会側から出席したのはだれなんですか。4月25日の弁明の機会。 会長,副会長と常務理事,そのほか私も出席してます。 部会長会のメンバーということではないわけですか。 違います。 役員会のメンバー。 はい。 このときのことについて,先ほどのあなたの乙39号証の陳述書の6ページによりますと,徳見さんが言ったこととして,例えば子供の口が自分のひざのところにくるようにすれば歯科清掃検査はできると主張したと,座椅子の首当て付きのような機械を準備して,それに座らせた児童を寝かせるようにするというようなことを言ったと,それに対して,あなたとしては,それは現実的に可能な話ではありませんでしたというふうに言っておられますね。 いや,私は言ってません。 そういうふうに陳述書に書いておられますけれども。 はい。 しゃべってはいないだろうけれども,あなたはそう受け取ったということですね。 (うなずく)・ 結局その日はそういうやり取り,つまり徳見さんのほうとしてはこういうやり方をすれば自分の今の状態でも検査ができるんじゃないかということを言ったということですか。 はい,そういうやり取りはございました。 あなたの受け取り方として,現実的に可能な話ではありませんでしたというふうに陳述書では書いてあるんだけれども,それはほかの出席者もそういう受け取り方をしたわけですか。 その中で,たしかそういう発言をされていると思いました。 原告とのやり取りの中で,役員の人のほうから,そういう発言をしたことがあるということですか。 はい。 つまり徳見さんの言うようなやり方をやれと言われても,それは不可能であるということですか。 はい。 そういうことは空想の話じゃないかといった発言もあったんじゃないですか。 空想……ちょっとそこまでは記憶してございません。 それでそういうやり取りはどれくらいの時間やったんですか。 ちょっと時間までの記憶はございません。 被告学校保健会の役員の人たちのほうからは,仕事のやり方について,ここをこういうふうに変えることはできるけれども,これ以上はできないといった,そういった提案というのはあったんでしょうか。 いや,そこまでの議論はなかったと思いますが,徳見さんのおっしゃられる方法での御検査は現実的ではないという主張はございまし た。 駄目だという話しかできなかったわけですか。 はい。 ただ,体の具合が悪くなった人が職場に復帰するに当たって,可能な限りで職場環境を変えていこう,整備しようということは,それはそれで重要なことではないんですか。 それは重要なことだと思いますが。 この日の弁明の機会というのは,そういう議論をすることは想定していなかったんですか。 特に議論のシナリオがあったわけではございませんので。徳見さんの意見を聞く,話し合おうという場でございましたので。 ですからそれは仕事を継続することが可能かどうかと,職場に復帰することが可能かどうかということについての話合いということですよね。 ですから徳見さんからいろんなお話を聞いて判断をしようということですから,どのようなお話が出るのかという部分も含めて,当日そ の場での話と,私はそういうふうに理解をしてます。 いや,だからそういう意味では徳見さんもそういうつもりで,完全に両者の思わくが一致しているか分かりませんけれども,原告徳見さんとして,こういうやり方なら可能じゃないかという案を持っていったわけですよね。 (うなずく) だからそれを受け止めて検討するということにはならなかったわけですね。 その話合いの中では,役員の方は,徳見さんのおっしゃるやり方では無理だという御意見をたしか話をされたと思います。 例えばどういう人が駄目だと言っていたわけですか。 いや,具体的に,記録がございませんので。 実際その検診をやっている現場を見聞きしている立場の人がそういう判断をしているんですか,その場について言えば。 どなたがどういう発言をされたのかまで,そういう細かいところは分かりませんけれども,それぞれ学校に携わる方ですから,歯科検診 を知らないということはないです。 だけど歯科検診とか集団指導の現場を実際に皆さん見聞きしているんですか,その場にいた人は。 見てたかどうかと言われてもちょっと分かりませんけれども,学校に携わっている方ですから,私は承知していたと理解していますが。 だから承知というのは,そういう業務があって,そういうことをやっているということはみんな分かっていたということでしょう。 内容についても承知をしていたというふうに理解してます。 現場でどういうやり方をしていたか,それを一,二か所でなく分かっていたということですか。 一,二か所というのはどういうことでしょうか。 つまり特定の現場だけでなしにということですよ。現場によって違ったやり方だってあったかもしれないじゃないですか。 いや,そこまではちょっと分かりません。 分からないですよね。 …………。 その後もう一度,5月30日に弁明の機会を設けることになったわけですね。 はい。 まずこれはいつ決まったんですか。 いつ決まった………。 ちょっとその辺が明らかでなかったので。 …………。 乙39号証の陳述書の6ページの15項に,「その後,もう一度徳見さんと話し合う場を設けようとの理事の意向で平成6年5月30日に,2回目の弁明の機会を開きました。」ということなんですけれども,これは特に会議を開いて決めたということじゃないんですか。 場合によるとその日の後に,かも分かりません。ちょっと申し訳ないですけれども,記憶がございません。 そこでもう一回弁明の機会を持つことにした理由について聞きたいんですけれども,今のあなたの書いた表現によると,もう一度徳見さんと話し合う場を設けようという理事の意向でということなので,つまりもうちょっと,もっと率直に話し合えないかというような議論があったんでしょうか。 当時の会長さんは非常に穏やかな方で,たしか最初の弁明の機会でも,また話し合いましょうというようなことをおっしゃられたと思い ますし,また何とかお互いの話合いの中で解決の方法がないのかと,そういう会長さんの意向もございました。 その場合の解決というのは,どういうことを想定していたわけですか。 矛盾しても,お互いが納得できる,そういう方法があるのかないのかということですね。 方向性としては,職場環境を工夫することで復帰するようにする方向か,徳見さんにもうあきらめてもらうという方向なのか,ということになると思うんですよ。そのどっちの方向性なのかということはどうなんでしょうか。 いや,特にそういうお示しはございませんでした。 とにかくもう一度聞こうということですか。 はい,そういうことです。 それでもう一度弁明の機会ということで,徳見さんに通知をしているわけですね。 (うなずく) この弁明の機会という表現については,ほかの表現は考えなかったんでしょうか。 いや……ちょっと考えなかったのかという質問がよく分かりませんけれども。 これは法律家とかであればそう不思議な表現じゃないんだけれども,一般の人にとってみれば,弁明の機会を与えるから来いというのは,単なる話合いをしましょうということとは大分ニュアンスが違うと思うんですよ。ですからもう少し率直に話合いをしようよということであれば,違った表現ができなかったのかなと思うんですけれども。 私の記憶の中では,支援者とのお話合いの中で,弁明の機会をというようなたしか言葉が出たというふうに記憶してまして,そういう とから当時弁明の機会というふうな表記にしたんだろうと思いますが。ただ内容はお話合いという,そういうスタンスでおりました。 それでその2回目の弁明の機会というのが5月30日ですね。 はい。 このときの様子について,あなたの前回の証言では,徳見さんが感情的な話ばかりされまして,実質的には実のある話はできませんでしたというふうに答えておられますね。 はい。 この感情的な話ばかりというのは,具体的に言うとどういうことなんでしょうか。 たしか,ビデオを撮らせてくださいとか,そういう話があったように記憶しています。 そのことを指しているんですか,感情的な話というのは。 はい,そのことも入ります。 ただ,ビデオを撮らせてほしいという話は,それ以前からも毎回言っていたと思うんですけれども,特に今回この5月30日の内容について感情的な話ばかりというのは,もうちょっとほかに意味があるんじゃないですか。 ほかには,役員の先生方の質間にお答えをしなかったと。 それをもって感情的な話ばかりというふうにおっしゃるわけですか。 はい。 このときはどれくらい時間を掛けたんですか。 すみません。これも時間については記憶ございません。 その後,8月4日に臨時の部会長会を開いて免職を決めたということですね。 はい。 5月30日から8月4日まで,ちょっとそれまでのペースに比べると間があくんですけれども,これは何か理由があるんですか。 いや,理由も記憶にはございませんけれども,ただいろんな行事だとか,先生方の日程だとかいろいろございますので,そういうところ が理由になったのかも分かりません。 この8月4日は,役員会ではなくて臨時部会長会ということでいいわけですね。 はい。 そうすると役員会での弁明の機会の結果を踏まえて,臨時部会長会を召集してそこで決めたということですか。 はい。 それでちょっと分からないのは,その臨時部会長会で実質的な議論をして決めるということにしたのはなぜかということなんですが,手続の問題としてね。解雇を決めるのは会長が決めるということになっていますよね。 (うなずく) ただもちろん会長が1人で決めるのではなくて,実質的な議論をしないといけないと思うんですけれども,その場合に臨時部会長会でそういう議論をしたのはなぜなんでしょうか。 やはり慎重に皆さんの意見を聞いて判断をするということがあったと思います。 規約上は,代議員会というのはそうしょっちゅうやるものじゃないかもしれませんけれども,理事会といったものが規約上の機関としてありますよね。 (うなずく) そういう正式な機関ではなくて,部会長会で決めたというのがちょっとどうかという気がするんですけれども,部会長会のほうが実質的にはもっと権威があるということなんでしょうか。 いや,これは前回もお話ししたとおり,理事会,あるいは3役,それぞれのところで協議し,検討してきていますので,最終的に会長さん ,あるいは会長,副会長含む会長さん方にお集まりいただいて,最終的に議論いただいて,結論を出したということです。より慎重をき したというふうに理解していただいてもよろしいと思いますが。 そうするとこの8月4日までの間に,ほかの例えば理事会なら理事会を開いて,議論をして,ある程度方向は決めていたということなんですか。 もう一度質問をお願いします。 8月4日の臨時部会長会で決定したと言われるけれども,それ以前に,例えば理事会なら理事会を開いて,この問題についての理事会としての意見を出していたということなんですか。 いや,それはございません。 だからその辺がそう言われるとよく分からないので,例えば5月30日から8月4日まで日にちがあいていると,その間に理事会で議論をして方向性を出したからそれだけあいたんだというのなら,それはそれで分かるんですけれども,そういうことはないわけですね。 ございません。 ですから,そういう意味では臨時部会長会でそこで議論を始めて,そこで結論を出したわけですよね。 はい。 そうすると理事会は何か関与しているんですか。 理事会は既に前段でいろいろ議論していただいてますので。 だからそう言われると分からないんですよ。じゃ,その前段の議論というのは何なんですか。 その前ですね。弁明の機会とか,そういう前に,理事会等で議論をしていただいていますので,ですからそういう理事会,あるいは3役 ,そういうところの議論,検討を踏まえて,最終的に部会長会で決定をしたということです。 今までの経過の説明の中で,理事会ということは全然出てこないので,ちょっとそれが意外に思うんですけれども,理事会というのは定期的に開いているわけですか。 定期的に開いてます。 どれくらいのペースで開いていますか。 どれくらいのベースと言われてもちょっと…。 定期的と言うなら分かるでしょう,それは。 いや,どうですかね……。 要するに月に1回とかふた月に1回とか。 もっと間があいていたと思います。 もっとあいているんですか。 はい。 そうするとこの問題について,平成5年の末から6年にかけて,今の手続が進んできますよね。その間に理事会は何回くらいあったんですか。 いつからいつまででしょうか。 平成5年の12月から平成6年の8月までの間。 ……1回か2回くらいはあったと思います。 それで第1回の弁明の機会を持つ前に,理事会をやったこともあるということですか。 それは見てみないとちょっと分かりませんけれども。 あなたは先ほどそういう趣旨で言われたんじゃないんですか。弁明の機会の前に開いたことがあるとおっしゃいましたよね。 いや,そうは申し上げてない。 そうは言っていないですか。 はい。 そうすると平成5年12月から平成6年8月までの間に,2回や3回はやっているであろうということはよろしいわけですね。 3回までは分かりませんけれども,2回くらい,総会がありますから。 そのときに原告の雇用の問題も議題になったということですか。 議題にしたかどうかは記憶ありませんけれども,報告はしていると思います。 いや,だってその臨時部会長会で結論を出す前に,理事会でも話になったと先ほどおっしゃったでしょう。違うんですか。 すみません。私が言ったのはそういうことではなくて,既に平成4年当時から徳見さんの問題については理事会等で,あるいはいろん な部会で議論をしてきています。そういうことを申し上げてます。・ だから議論をして,結論は出たんですか,あるいは方向性は出たんですか,理事会としての。 いや,方向性というのは出てません。 そうするとやっぱりこれは8月4日の臨時部会長会でいきなり結論が出たということなんじゃないんですか。 ただ,過去の理事会等の中では,3役,あるいは部会長会にお任せをするというような結論は……。 そういう議論をしていたわけですか。 はい。 甲第5号証を示す 学校歯科保健事業報告という,これは毎年出している報告書ですね。 と思いますが…。 あなたは分からないですか。 ちょっと…。 横浜市教育委員会と横浜市学校保健会が名前を並べて作ってますけれどもね。毎年出している報告書ですよね,これは。 ちょっと記憶がありませんので,毎年出しているかと言われてもちょっとお答えしかねますけれども。 1ページ目を示しますけれども,横浜市学校歯科保健事業というタイトルで,組織と運営というところで,歯科保健事業委員会が組織されていると,それでこの事業を運営しているということなんですけれども,学校保健会の歯科衛生士の任命に関して,ここにある歯科保健事業委員会で議論がされるということはないんでしょうか。 当時いろんな組織がありましたので……これは推進会ですよね。 組織と運営のところに書いてある歯科保健事業委員会,その構成メンバーがその後に書いてありますね。 …………。 これは分かりませんか,歯科保健事業委員会。 すみません。記憶がはっきりしないんですが。 どういう委員会だったかというのは分からないですか。 ちょっと今思い浮かばないですね。 市教委職員も入っているようなんですけれども,思い出せない。 はい。すみません。 この歯科保健事業委員会というところで,徳見さんの解雇について議論したという記憶はないと理解していいんでしょうか。 私が着任する前に,たしか歯科事業部会ですかね,総務部会,そこで議論をしたという話は聞いたことがございます。 それは学校保健会の中の部会ですか。 はい。 どういう議論をしたか分かりますか。 いや,細かいところまでは分かりません。 平成6年8月4日の臨時部会長会で免職を決めたということなんですが。 乙第33号証を示す 先ほども示した平成6年3月28日の診断書なんですけれども,この8月4日の議論のときもこの診断書に基づく議論はされたんでしょうか。 議論というか,これ先生方にもお渡しをして判断をしていただいています。 この診断書では,結論として,いろいろ条件は付いていますけれども,勤務は可能と考えるということになっているんですけれども,それにもかかわらず,このときの結論は免職ということになったわけですよね。 はい。 ですから,その点について何か議論はされたのか,あるいはされなかったのか,その辺はどうでしょうか。 弁明の機会のときの中のいろいろ議論がございました。そういう中で徳見さんが左手に力が入らないと,自分でも動けないと。 弁明の機会でのやり取りのことではなくて,この診断書についての議論というのは8月4日のときにはあったんでしょうか,なかったんでしょうか。 議論は若干あったかと思いますが,ちょっと細かい記憶はございません。診断書はこの中に出していますので。 判断する一つの資料としては配られていたということですね。 はい。 ただ勤務が可能と考えるという記載について,取り立てて議論はしなかったということでよろしいんでしょうか。 しなかったというと語弊があると思いますが,話合いはあったようには記憶していますが。 だから議論があったんならばどうなのか,診断書の結論と違う結論になっているので,何らかそれはあったんじゃないかと思うんですけれども,御記憶はないですか。 細かい記憶はありませんけれども。 結構大きい問題じゃないかと思うんですけれども,記憶はないわけですか。 …………。 じゃあ,こう聞きましょうか。むしろ8月4日の時点では,この診断書よりもその後の弁明の機会でのやり取りを基に判断したと,そちらを主に判断したという理解でよろしいですか。 両方で判断をしたというふうに私は理解していますけれども。 ただその時点での乙第33号証の診断書についての議論の中身は,今は記憶はないということですね。 はい,細かいところはちよっと分かりません。私も7年前なので,申し訳ないんですが。 とにかく今答えられるような具体的な記憶はないということですね。 はい。 それで前回の証言の中で,免職になった理由として,自分で車いすの移動ができないし,左手が不自由で使えないと,そういう状態では職務に耐えられないということをおっしゃっていますね。 はい。 この点なんですけれども,この8月4日の時点で,まず左手が不自由で使えないという点についてなんですが,これは前回のあなたの証言の中で,あなたの御記憶としては当時原告の左手は全く動かない状態だったというふうに言っておられますね。 はい。 手も指も動かないということですね。 はい。 それはこのとき議論していた部会長会のメンバーもみんなそういう認識だったんですか。 それは常務理事からの報告があったと思います。私は一理事ですので。 常務理事さんから,それは佐藤さんですか。 はい。 今言ったような状態だということを皆さんに報告をしたということですか。 それで承知をしていたと思います。その席で,あったかどうかは,ちょっとそこまで覚えていませんが。 要するに,その部会長会に出ている皆さんは,先ほど言ったようなあなたの認識と同じ認識だったという理解でよろしいわけですか。 はい。 それと8月4日の議論の中では,職場の仕事のあり方を工夫することによる受入れの余地がないかどうか,そういう議論はされたんですか。 いや,それはなかったと思います。 我々は左手が全く動かない状態だったということで解雇という結論になったということを聞いたのは,この裁判になって初めてなわけです。もっと言うと,あなたの陳述書なり証言が出てきて,初めてその辺が具体的に明らかになったというふうに思うんですけれども,これは,それ以前にそういうことは説明はされていませんよね。 それはどこででしょうか。 まああなたの在任中は,あなたが徳見さんに対して説明したことはないと,あるいはそれ以後も保健課の職員が徳見さんに説明したということはないんじゃないですか。 要は学校保健会の歯科衛生士として職務に耐えられるかどうかという判断をしてきましたので。 だから,いつもそういう答えしかなかったでしょう。左手が動かないからだという説明はなかったんじゃないですか。 いや,なかったと言われても,ちょっと記憶がありませんけれども,ただそれは徳見さん御自身が一番御存じだと思いますけれども。 それは事実に反するからですよ,聞いているのは。 …………。 少なくともあなたのほうは特にそのことを隠そうとしたつもりはなかったということですか,この日の議論の内容を。 この日の議論というのは。 つまり8月4日に免職を決めた理由として,左手が動かないという認識だったということを,あなたとしては別に隠すつもりはなかったというわけですか。 別に隠す必要ありませんので。 それとこの間の臨時部会長会あるいは役員会については議事録というものは作っていないんですか。 ございません。 ちょっとこれ非常に重要な議題が,原告の解雇もそうだし,ほかにもあるかと思うんですけど,議事録というのはもともと作らないものなんですか。 作らないものだと言われても困りますけれども,私の記憶の中では議事録を作ってきておりませんでした。 この件に限らず一般的に被告学校保健会の会議については議事録は作らないできたということですね。 はい,そういうことです。 原告が学校保健課のところに来て,先ほどの例えば佐藤さんという人は学校保健課の人であると同時に常務理事だったわけですよね。解雇等についての話をしたことがありますよね,何度かね。 はい。 そういうときにあなたは,そのやり取りについて記録を取ったりしていたんじゃないですか。 メモぐらいは取っていたと思います。 そのメモは後で清書したりとかいうことはしなかったんですか。 飽くまでも個人のメモですので。 記録としてとっておくという発想はなかったんですか,専らあなた個人しか使わなかったんですか。 はい。 他人に見せたりもしないんですか。 はい。 まあ先ほど来,仕事のやり方の工夫ということは具体的に検討されなかったというんだけれども,それはそういうことを議論する必要はないという認識だったんですか。 いや,歯科衛生士として職場復帰できるかどうか,歯科衛生士としての職務に耐えられるかどうか,自力で勤務ができるのかという議 論は十分してきたはずです。 ですから,それは仕事のやり方との兼ね合いによるんじゃないんですか。どういう補助具を用意するかとかね,どういうタイムスケジュールで動くかとか,そういうことによるんじゃないですか。 学校の歯科巡回指導としては徳見さんの体の状態では無理だと,体と勤務状況を検討した結果そういう判断が出たものです。 だから,それはもう何度も聞いているんですげれども,検討した内容というのは一向に説明されないので,こちらとしては納得できないわけです、よ。それ以上具体的なことは言えないわけですか,何をどう検討したのかというのは。 ですから職場復帰できるかどうか。 それ以上のことは言えないわけですね。 そういうことで判断してきていますので。 ですからそれ以上具体的なお答えはいただけないわけですね。 私の承知しているのはそこまでです。 甲第50号証を示す 「横浜市職員への身体障害者雇用について」の「基本方針」という文書ですが,これはあなたは御覧になったことありますか。 いや,見てません。 福祉の仕事もしていたようなんだけど,見る機会というのはなかったですか。 はい,残念ながら承知していません。 甲第50号証の「基本方針」の例えば6項のところですね,「適職の拡大を図るため,各職場での理解と協力のもとに,職務内容等の検討を行い,障害者の値々の特性にあった職務・職場の確保に努める。」7項として,「障害を要する職員の勤務しやすい職場環境を確保するため,必要に応じ施設・設備等の改善に努める。」8項として「障害を有する職員を正しく理解し,積極的に援助・協力していく職場環境をつくるため,あらゆる機会を利用し,職員に対し啓発を進める。」ということで書いてあるんですが,市がそういう基本方針を持っているという認識はありましたか,これ自体を知らなくても。 はい。 それはありましたか。 はい。 そういったことはどこかで聞いたことがあったわけですね。 はい。 それは被告学校保健会についても同じような方針が求められているんじゃないですか。 はい,そう理解してよろしいと思いますが。 同じ甲第50号証の10項のところで,「この基本方針に準じて,本市外郭団体等関係機関についても身体障害者雇用促進に協方を要請する。」ということがありますね。ここにいう外郭団体には学校保健会は入るというように思いますか。分かりませんか。 分からないです。 実際,体の麻庫等の障害を持つ人でも,教育委員会関係で言えば,学校の教員として雇用を継続するとか,そういったケースはあったんじゃないですか,それは御存じですか。 教員は存じておりませんけれども,職員は。 一般職員でも。 います。 あなたから見て,重い障害だけれども働いているという人では,例えばそういう症状の人がいますか。 市に入ったばかりのときに,車いすで通勤をしている職員もおりました。 先ほどの8月4日の部会長会で免職を決定したということなんですが,その後,免職の通知が出されたのは12月20日ですよね,その年の。 はい。 で,この間がちょっとまあ4か月以上間が開いているんですけれども,それは何か理由があるんですか。 恐らく退職手当の支給の調整で長引いたんだったと思います。 支給の調整ってどういうことですか,計算ということですか。 要するに退職手当をお支払いするその基の費用がございませんので。 予算措置をするということですか。 はい。 それに時間が掛かったということなんですか。 はい。 予算措置というのは具体的にどうするんですか。 学校保健会の職員の給与は保健事業費でしたか,そこから支出をしていますので,当然,退職手当は予定をしておりませんので,委 託費の増額で支給の財源を確保するということが必要になります。 要するに横浜市の予算にその分の手当をしないといけないわけですよね。 はい。 だから横浜市の予算決定に向けて手続が必要だったということですね。 学校保健会への委託費ですね。 だから横浜市抜きでは要するに解雇もできないわげでしょう,そういう意味では。 そういうことではありません。 先ほどの左手が動かないという認識だったというんですけれども,ちょっとこれは私は非常に驚いているんですが,私はもうずっと徳見さんと10年来付き合っていて,左手の状況が大きく変わったという認識は全く持っていないんですね。あなたはその左手が動かなかったというのは,本当に確証を持って言えるんですか。 徳見さんの弁明の機会でも左手に力が入らないということをおっしゃっています。 力が入らないということと,全然動かないということは違うでしょう。 …………。 いろいろ話合いの中で,例えばまあさっきの自主出勤のやり取りをビデオで撮ったものとかもありますけれども,動いているんですけどね。あなたは御記憶はどうなんですか,間違いないんですか。 私の目にもきちんと焼き付いていますので。 それはどういう場面が焼き付いているんですか。 逆に先生はどういう状況だったんでしょうか。 例えば書類を出すときに左手で封筒を支えて右手で出すということをやっていますよね。で,両手で書類を渡す,左手はそんなに,同じようには動かないけれどもね,少なくとも上げ下げをするとか,多少動かすとか,そういったことはできていますよ。あなたの目の前でもやっていると思うんだけれどもね,記憶ないんですか,本当に。 記憶にございません。 じゃあビデオで出すことになりますけれども,それはね。あなたとしては飽くまでもそういう認識でいたわけですよね。 はい。 原告代理人(新美) 学校保健課というのは教育委員会学校保健課とこういうふうに言いますよね。 はい,そうです。 この生徒とか児童の歯の検査とか虫歯の予防の指導というのは,本来的には教育委員会の職務権限に属している事務であるということは知っていますか。 いや,申し訳ないんですけれども,そこまでは承知していません。 教育委員会の職務権限を定めた法律が何かというのは勉強したことはないの。 申し訳ありません,ありません。 地方教育行政の組織及び運営に対する法律の第23条に教育委員会の職務権限というのがずっと羅列されているのは読んだことないかな。 申し訳ございません,そこまで勉強していません。 その第23条の第9項に,生徒,児童及び幼児の保健,安全,厚生及び福利に関する事務というのが教育委員会の権限として定められているから,教育委員会の中に学校保健課というのがあるんですよ。それを初めて知りましたか。 はい。 本市では被告学校保健会が市から委託を受けて各学校を回って歯科衛生士を派遣して虫歯の検査指導をやっていますね。 はい。 同じことを委託せずに市の事業としてやっているところも,日本にはあることは知っていますか。 それは聞いたことがあります。 ところで市と被告である学校保健会との関係ですけれども,これは委託関係なんですね。 歯科保健事業について委託ですね。 先ほど原告の退職金の問題があったので,委託費の増額をはかるために保健事業費の予算を取らなければならなかったということをおっしゃいましたね。 はい。 そういう意味では委託関係でやっているわけですね。 はい。 委託契約というものは市と被告との間には取り交わされているんでしょうか,見たことがありますか。 いや,そこまでちょっと申し訳ありません,確認していません。 被告の必要な費用というのは,先ほどのように教育委員会の保健事業費として予算として決められていて,それを毎年毎年,執行されているわけですね。 予算の詳しいのは分かりませんが,教育委員会の予算がどうなっているのかというのは,すみません,そこまで詳しいのは。私も局に 来てそういう事務に携わるのが,経験が浅かったものですから。 乙第44号証を示す これは前回のあなたの証言では,3月15日付けになっているけれども実際には3月25日に提出されたものだということでしたね。 はい。 これは先ほど代理人のほうからも示しました3月22日付けで出された診断書を取ってほしいというお願いを受けて,原告のほうから出されたものですね。 はい。 この右ページの上から4行目以下のところに,原告の診断書を提出する目的というものが書いてありますね。 はい。 「私の身体の状態で,『どのような歯科衛生士としての仕事をすれば,またどのような手段・方法を講じれば良いのか』双方で検討し,煮つめるための診断,及びそのための診断書は提出いたします。」というふうに書いてありますね。 はい。 乙第33号証を示す これが問題の3月28日付けの杉井医師の診断書ですね。で,原告がこの杉井医師の診断書を取って被告のほうに提出した気持ちと言いますか,目的というのは,今申し上げたような乙第44号証に書かれているような気持ちからこれを出したということは当時は分かりましたか。 徳見さんの日ごろの主張がそうですから,はい。 ここで問題になるのは,この杉井医師の診断書を被告の役員会なり臨時部会長会議なりで検討したときに,これを基にして,どういった仕事ができるんだろうかという,そういう観点からこの診断書は皆さんで検討されたんでしょうか。 その前に職場復帰できるかどうか,職場復帰ができるのであれば具体的にどういう仕事があるのかということですから,まず職場復帰 が可能なのかどうかという判断が先ですので。 職場復帰できるかどうかについては,この診断書1枚だけでは判断できないと思うんですが,どうでしょうか。 ですから,診断書と話合いの弁明の機会,これを総合的に判断をして最終決定をしたと,私はそう理解しています。 普通は常識的に考えますと,医師が診断書を書くためには前提になるいろいろな検査データとかいうものに基づいて,まあ文章としてはこれだけの簡単な文章ですけれども,前提となるデータに基づいて診断をされる。ですから診断書を検討する際には,そういった裏付けになるデータとか検査結果みたいなものを入手されて,それで検討するというのが普通だと思うんですけれども,そういうことは今回はおやりなっていないわけですか。 現実にはやっておりません。ただ職場復帰ということであれば,逆に徳見さんのほうから持ってきても別に差し支えないことだと思いま すが。 被告保健会としては,この診断書を原告から受け取った以降,この診断書の裏付けになるような確認というのを,杉井医師に聞いたり資料の提供を受けたり,データをお聞きするということは一切やっていなかったわけですか。 してございません。 この乙第33号証の診断書が出されて,それを受けて平成6年4月6日に先ほどの役員会が行われたわけですね。 はい。 で,あなたの前回の証言を聞くと,その診断書を見て,ああ,これで自力の勤務とか自力の通勤ができないことが分かったんだと,こういうふうにおっしゃいましたね。 無理なようだと。 これはどういうふうにこの診断書を読んだんでしょうか。 前回御説明したとおりで,これは私が判断したということじゃなくて,役員会としての判断ですので。 この左上・下肢の麻庫というふうに書いてありますね。 はい。 この麻庫の程度がどの程度かについては,役員会でも部会長会議でもだれか質問をするとか議論をするという人はいなかったですか。 ちょっと記憶にございません。 医師の常識として,完全麻庫なのか単なる麻庫なのかという使い分けをしているということは知っていますか。 いや,私はそういう医学的知識がございませんので。 そういう議論を聞いたことはありませんか,この診断書を見て。 そこまでの記憶は記憶がございません。 この左上肢に負担をかけなければという,この書き方は,左上肢の機能に負担をかけなければという意味として,普通医師は書くので,左上肢が全く動かないという前提で書くものではないということは,あなたには分かりませんか。 いや,私は分かりません。 そうすると左手の握力が幾ら出ているのか,何キログラム出ているのか,それから屈曲と伸展が何度左手についてはあるのか,こういったデータも当時,役員会か何かで数字が確認されたことは全くなかったわけですか。 ございません。 平成6年4月6日,つまり先ほどの杉井医師の診断書を受けて,同年8月4日免職の決定をするまでの間,この診断書と弁明の機会という形で行われた際の原告本人のおっしゃったことのほかに,被告のほうで新たに収集された資料とかデータとかいうものは何かありましたか。 なかったように記憶しています。 あなたは前回の証言では,左手が全く動かせないように見えたということを繰り返しおっしゃいましたけれども,見ただけで,特にその点を確かめたということはないんですね。 具体的にどういうことでしょうか。 実際に手に取って。 そんな失礼なことできませんでしょう。 それとかその点について徳見さんにただすとか,徳見さんから左手の状況についての医師のデータを聞くとか,握力は何キログラムぐらいあるんですかとか,握力はゼロですかというようなことを確認したことはないんですか。 ございません。 見ただけでそういうふうに言っているだけなんですね。 当時の状況です。 平成6年1月4日から,あなたの言葉でも自主出勤闘争というのを原告はずっと続けていましたね。 はい。 あなたとは学校保健課でよく顔を合わせていたわけですか。 はい。 ほとんど毎日のように出勤してきたわけですか。 はい,来ていました。 出勤はできたわけですか。 それはどういう意味でしょうか。 時間どおり,学校保健課の事務室には出勤ができたわけですか。 時間までは管理していませんので,よく分かりませんが。 ただあなたは毎日のようにと。 毎日のようにということですね。 毎日のようにというぐらい頻繁に本人は出てきておったんですか。 はい,来ていらっしゃいましたね。 出勤しようと思えば出勤できる人なんですね。 出勤とは違うと思いますね。 もちろんあなたのほうからすれば違うけれども,体は移動して,学校保健課の事務室の中には移動してきたわけでしょう。 おられたということですね。 乙第31号証を示す この診断書は内科的診断ということで評判が悪かったようですが,健康診断書を出してほしいというふうに,あなたか又は佐藤課長が原告に言ったということは間違いないんじゃないですか。 はい。 これは内科的な健康診断も職場復帰に当たっては必要だと思って,原告がお医者さんのところに行って作成してもらって提出したということは間違いありませんね。 いや,その意図は私には分かりません。 感染症なんかにでも,もしかかっておれば,一見体は丈夫でも,そんな人が学校の現場に入ったら大変でしょう。ですからこういう内科的な診断書も必要なんじゃないですか。 職場復帰ができるかどうかという判断をしているときに,そういう診断書をもらいますか。 あなたはそういうふうに考えたわけ。 はい。 4月25日のこの弁明の機会というんですけれども,そのときに原告が,こういうふうに工夫すれば歯科衛生士としての巡回指導はできるんだということを皆さんに訴えられたときに,本人はそれは少し身振り手振りで説明したんですか,ただ黙って口だけで説明したんですか。 いや,そこまでちょっと記憶にございません。 そこで原告が説明をしたことは,あなたとしては理解はできましたか,どういうことを原告が工夫してほしいとか,配慮してほしいということを訴えているということについては理解はできたんですか。 言っている内容については理解はできました。 どうしてそれが現実的でないとあなたは思ったんですか。 私が判断したんではなくて,学校保健会として先生方が判断したことです。 むしろ本人が一生懸命しゃべろうとしておったにもかかわらず,それは空想の話とか,非現実的な話ということで打ち切っちゃったというのが実態ではなかったんですか。 いや,そうではございません。 原告の,こうしてほしい,こうすれば自分はあの仕事ができるんだという訴えというのは,どのぐらい時間を掛けてやったんでしょうか。相当時間が掛かったという記憶ですか,それとも。 いや,先ほど申し上げたように,時間までちょっと記憶してございませんので。 4月25日に1回目の弁明の機会というか,それでもう一度5月30日にやったということでしたね。 はい。 5月30日のことについては,原告が何か答えなかったということで終わってしまったということを先ほどあなたは証言されましたけれども,実際には原告のしゃべろうとしていることに対して,出席した役員の中に,まるで留守番電話のテープを聞いているようだということで感情的に逆になったというのは役員のほうじゃなかったの。 いや,そんなことございませんでした。 留守番電話のテープを聞いているようだ,つまりいつも同じことしか言わないんだというようなことを役員のだれかが発言したという記憶はないですか。 いや,記憶にございません。 平成6年の12月に解雇予告通知というんですか,免職通知というのを作って,その翌年,1月4日に新聞記者の方が学校保健課に来て,当時の佐藤課長,被告の常務理事ですが,にインタビューをかなり時間を掛けてしたことを当時のビデオで私は見ているんですが,あなたはそういう様子があったことについては記憶ないですか。 記憶にございません。 佐藤常務理事が,原告の言っていることは推定とか推察で,検討する必要がないんだとか,もし原告のほうで不満であればちゃんとそういう手段があるんだから,というようなことを繰り返して記者の方に声をあげて説明しておったということについては記憶ないですか。 記憶にございません。 甲第3号証を示す 大分時間を掛けて退職手当についてはいろいろ配慮されたようですが,この退職手当の支給についての通知ですね,これは覚えてますか。 はい,覚えてます。 これは役職からすると,あなたが作ったんじゃないの。 いや,だれが作ったかはちょっと記憶にありませんが。 内容についてはもちろん分かりますね。 はい,承知してます。 確認しておきたいんですが,ここで退職金の金額が1982万3360円とありますね。 はい。 この退職金の支給額の計算根拠は,本俸と調整手当を足したものを給料月額として退職手当支給率B表の勤続年数28年の係数である54・40を掛けたものがこの1982万3360円というふうに考えられるんですが,それでよろしいですか。 いや,細かいところまで記憶ございませんので。 その退職手当の計算については,本俸プラス調整手当を給料月額として一定の係数を掛けるという計算をするのは間違いないんですね。 いや,その前の……。 そのことも分からない。 はい。間違えて答えても困りますので。 当時それを計算したものは何か残っているんですか,この計算の根拠。 あると思いますけれども。 乙第44号証を示す これも先ほど聞いたんですが,今度は別のところを聞くんですが,ここで原告は障害を理由に解雇することは人権蹂躙,障害者差別ですと,こういうことまでおっしゃっているんですが,ここまで言われると多少胸に突き刺さるものがあるような気もするんですが,当時こういう障害者間題,障害を持っていることを理由にして解雇するということについては,先ほど森田代理人のほうからも示されたような,市の行政全体がどうなっているとか,世の中がどういうふうになっているとかということについては,被告の役員会とか臨時部会長会議の中で,多少その辺の議論というか,そういうことについて議論したことはありますか。 そういう認識はほかの先生方もお持ちだったと思います。 だからそれを今回のこの解雇に当たって,障害者ということを理由にしての解雇については。 そういうことはございませんので。 その辺のことは検討されたんでしょうか。 障害を理由にということではございませんので。職場復帰できるかどうかで判断しました。 これは障害を理由にした解雇ではないと。 はい。 原告代理人(森田) 障害者の雇用の促進等に関する法律というのがありますね。いわゆる雇用促進法ですね。 はい。 そこの80条の1項というところで,事業主は障害者である労働者を解雇する場合には,労働省令で定めるところにより,その旨を公共職業安定署長に届けなければならないという規定があるんですが,これは御存じですか。 申し訳ありませんけれども,承知しておりません。 徳見さんを免職したときに,この規定に基づく職安への届出というのはされていないですよね。 しておりません。 規定自体御存じないんじゃ御存じないかもしれないんですけれども,どういう趣旨でそういうことが義務づけられているかということは分かりますか。 今緊張もしてますので……。 一般に言われているのは,障害者の再就職が難しいことにかんがみて,解雇する場合には速やかに職安に届けることで,職安はあらかじめその方に適した求人の開拓や職業指導を行うようにということのようなんですけれどもね。この辺のことは御存じなかったということですか。 はい。 被告代理人 今反対尋問で,自主出勤の質間があって,質間としては,徳見さんが自主出勤で毎日のように来ていたのであるという確認の質問がありましたが,徳見さんが自主出勤ということで来ているときというのは,だれか一緒に来ていましたか。 はい。いつも介助者の方がついてます。 いつも徳見さん自身は車いすだったんですね。 はい,そうです。 その自主出勤と称して来ているときに,移動する際は徳見さんはどういうふうに移動していましたか。 介助者の方が車いすを押していました。 横浜裁判所 裁判所速記官 砂川通子 裁判所速記官 宮下かおり |