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95.9.21


宮崎貴明証人調書 2

Q(質問):原告代理人(森田)

Q(森田).(甲16第号証の39)これは、あなたと秋田さんの名義で作成された文書ですね。
A.はい。
Q.当然、見覚えがありますね。
A.はい。
Q.この文書は平成3年3月4日付けで作成ということでよろしいんですか。
A.3月4日です。
Q.この日1日で作ったものですか。
A.はい。
Q.どういういきさつでこの報告書を作ることになったんですか。
A.横浜市総合リハビリテーションセンターに伊藤利之先生という先生がおるんですが、伊藤先生から報告書を出す旨言われましたので、当日作成しました。
Q.伊藤医師からの依頼で作ったということですか。
A.はい。
Q.依頼されたのはいつですか。
A.3月4日です。
Q.この文書は、あなたと秋田さんと二人で相談して作ったものですか。
A.はい。私が担当でしたので、私がまずワープロで打ちまして、所属長が秋田さんになっておりますので、秋田さんの確認をもらいまして、高塚先生は当日職場にいなかったと思います。伊藤先生のほうに持っていきました。
Q.今言われたのは、この文章の宛名が高塚医師になっているけれども、それは提出するときに伊藤先生がいなかったからということですか。
A.いや、違います。高塚先生がいなかったからです。
Q.どうして高塚先生宛てになっているんですか。
A.主治医宛てということなので。
Q.そうすると、主治医宛てに出すものだから、主治医の高塚先生の名前が書いてあるけれども、実際には伊藤先生から依頼されたものだということですね。
A.はい。
Q.目撃内容を書いてあるわけですね。
A.はい。
Q.そうすると、実際に目撃をしたのは、あなたなのか、あるいはあなたと秋田さんと同じぐらい見ているわけですか。
A.秋田さんのほうははっきり私は分かりませんが、職員はほぼ全員が見ていると思います。私も当然見ております。
Q.ただ、その文書について言うと、あなたが自分で見た様子を文章にして、秋田さんにそれで間違いがないかというふうな形でチェックしてもらったということですか。
A.はい、そうです。
Q.そうすると、秋田さんもあなたと同じ範囲の事実をね、つまり部分的にではなくて、あなたと同じぐらい時間の経過全体を見ているということですか。
A.はい。
Q.この報告書の次のページの図面を見てください。これは、部屋の見取図と人の絵が五つ書いてありますね。
A.はい。
Q.あなたが書いたものですか。
A.そうです。
Q.この見取図には、あなたがいた位置は書いていないですね。
A.はい。見取図には記載がありません。
Q.どうして書かなかったのですか。
A.ケースの報告書ですから、その事件の様子だけを詳細に書いただけです。
Q.あなたがどこから見たかということは大事なことじゃないんですか。
A.……。
Q.そうは思わなかったんですか。
A.いや、そうは思わなかったです。
Q.右側の人の絵ですけれども、それは今から考えても間違いないと思いますか。これは原告が倒れるところの絵ですね。
A.はい。日数がたっておりますけど、この報告書が一番近いと思いますが。
Q.特に間違ったところはないということですか。
A.そうだと思います。
Q.事故の後で徳見さんとリハセンターとの間で交渉が持たれたことはご存じだと思いますけれども、その中で、この報告書の見取図、要するに報告書の図面の部分を出してほしいという要求があったけれども提出がされなかったという経過があるのはご存じですか。
A.私は存じません。
Q.知らないですか。
A.はい。
Q.(乙第1号証)これは報告書という標題ですけれども、リハセンターのほうの代理人が転倒状況を写真で再現したものですが、この書類を見たことがありますか。
A.この写真は先日の裁判でたしか見たと思います。
Q.1ページ目によりますと、平成5年4月14日にリハセンターの村瀬弁護士がリハセンターの中で撮った写真だということなんですけれども、平成5年4月14日のこれを撮影したときにあなたは立ち会っていましたか。
A.私は立ち会っておりません。私は平成5年の4月14日はもう既に横浜市総合リハビリセンターに在職してなかったので。
Q.ただ、あなたは直接目撃をした人だから、この裁判の証拠のために事故の様子を再現するわけですから、当然、あなたも呼ばれて、事情を聞かれたのではないかというふうに思うんだけれども、そういうことはなかったですか。
A.すべて在職中に……。私はたいへん字が汚いものですから、カルテ並びに報告書等は、かなり上司の方に質問を受けたりとか、分かりにくいところはワープロで打ったり……。
Q.要するに、これを作るときに、あなたは呼ばれていないわけね。
A.いつですか。
Q.ですから、平成5年4月14日ですよ。
A.はい、14日はいません。
Q.そうすると、写真の@からJまでですけれども、これが正しく事故状況を再現したものかどうかということはわかますか。あなたの記憶と違ったところはありますか。
A.合っていると思います。
Q.この写真の中で徳見さんの代わりをやっている人は、あなたはご存じですか。
A.はい。
Q.これはリハセンターの職員ですか。
A.はい。現在は分かりません。当時は職員だったと思います。
Q.この人はべつに障害を持っている人ではないんですね。
A.はい、そうです。
Q.(甲第27号証)@からCの写真を見てください。これは、徳見さんが事故当時用いていた装具を身につけた写真ですね。実際に写真を撮ったのは最近なんですけど、大体こういった形で装具を身につけていたということでよろしいですか。
A.細かいところは合っているかどうか分かりません。
Q.あなたの記憶で、分からなければ分からないということで答えてください。
A.膝パットがあったかもしれないです。
Q.ご本人はそれは使用してなかったと言うんだけれども、記憶ははっきりしていないですか。
A.はい。本人の記録を見れば分かると思うんですが。
Q.写真@を見てください。まず、両手にロフストランド杖を用いてますね。
A.はい。
Q.それと、左足に長下肢装具をつけていますね。
A.はい。
Q.それと、右足の靴もそれに対応するようなものなんですかね。
A.右の靴ですか。
Q.ええ、ほぼ普通の靴ですか。
A.いや、違います。高さをちょっと高くしてあります。
Q.いずれにしても、そういうものを身に付けて訓練していたことはいいですね。
A.はい。
Q.写真のD、Eを見てください。これがロフストランドというものですね。
A.この杖が当日の杖かどうかということですか。
Q.まず、その点はどうですか。
A.先のほうが延長するゴムなんですが、杖の先についているゴムです。そのゴムはついていたのは覚えていませんが。ついてなかったと思います。杖の長さが短いときに延長するゴムなんですが、このゴムはついてなかったと思います。
Q.徳見さんが使っていたロフストランドというものが、形としては大体そういうものということでよろしいですか。
A.ロフストランドというのはこの杖ですね。
Q.写真のEの向かって左側の杖ですけれども、これは、要するに、上の部分がEのほうの向きにも動くようになっているんですね。
A.はい。
Q.写真のF、Gを見てください。これは今のロフストランドの上の輪になっている金具の部分ですね。
A.はい。
Q.これは結構堅い金具ですか。
A.はい。
Q.手でどう曲がるんですか。
A.人によって、腕の太さ、これは前腕のところに入れてしまうんです。腕の太さが違いますから、広げられるものです。
Q(裁判長).堅い金具ではないんですね。
A.はい。
Q(森田).Hの写真がありますけれども、こういった形で腕を通して握るわけですね。
A.はい。こうやって使います。
Q.Iの写真なんですけれども、上の金具がある程度弾力があるものだったというお話だったけれども、これ、腕を突っ込んで横の隙間から抜くようなことはできますか。
A.意味がわからないですが。
Q.つまり、Iのように、腕を突っ込んでますよね、この輪の隙間から腕がすぽっと抜けるような程度に柔らかいものなんですか。
A.ですから、ここの締め具合によって違います。開いている場合は抜けますし、開いていない場合は抜けません。
Q.この輪の部分の堅さというのは、ものによって大きく違うんですか。
A.はい。極端に言いますと、前のほうの輪っかがないやつもありますから、ものによってかなり違います。
Q.少なくとも、写真に写っているのはこれなんだけれども、これはそう簡単に抜けるものじゃないんじゃないですか。徳見さんが使っていたものは。
A.いゃ、これを使っていらしたんですか。
Q.ええ。
A.このまま使ってらしたら、前のほうには抜けないです。上に抜けます。
Q.もちろん上に抜けないと困りますけれども、横からは抜けないですよね、この堅さだと。
A.前方にですね。前方には抜けないです。
Q.要するに輪の開いているほうですね。
A.我々はこちらを前方というものですから。
Q.輪の開いている方向には抜けないと。つまり、 の写真にもありますけれども、こういう状態で横に引っ張っても、すぽっと抜けるものじゃないんですね。
A.はい。
Q.写真のJ、K、Lを見てください。これは長下肢装具を足につけている様子ですね。
A.はい。
Q.写真のM、Nは、その拡大の写真ということでよろしいですかね。
A.はい。
Q.Mというところで金具が曲がっていますよね。
A.はい。
Q.これはどうやると曲がるんですか。
A.上に上げれば曲がります。
Q.Nの写真の真ん中に写っている止め金があるわけですね。要するに丸くなっているところの上ですね。輪っかの上のところに止め金がありますね。
A.ボッチがついていますね。
Q.そのボッチより上に金具を上げれば曲がるということなんですね。
A.はい。
Q.こっちより下にある状態であれば固定されているということですね。
A.はい。
Q.写真O、Pは、長下肢装具と、それに対応する靴ですね。
A.はい。
Q.Pの写真の向かって右のほうの靴ですが、これは長下肢装具になっていないほうの靴ですね。
A.はい。
Q.先ほどちょっとあなたが言われたけれども、こちらの右側の靴は底が厚くなっていますね。
A.はい。
Q.これは何のために厚くなっているんですか。
A.一般的には、高くなっていない足を振り出しやすくするためです。
Q.つまり、高くしておいたほうが、高くないほうの足が言ってみればぶらぶらになるので、振り出しやすくなるということになるわけですか。
A.まあ、そうです。
Q.そうすると、ある意味では、そういうアンバランスな状態をつくって、弾みをつけて、進んで行くという形になるわけですか。
A.ちょっと意味が分からないんですが。
Q.弾みというと正確でないかもしれませんけれども、要するに、隙間をつくって、装具のついている足を浮き上がりやすくしておくわけですね。
A.はい。
Q.そのことによって、装具をつけている足を動かしやすくすると。
A.アンバランスではないんですよ。
Q(裁判長).アンバランスという表現は別にして。
Q(森田).要するに、装具をつけたほうの足を動かしやすくするために違った厚さにしてあるわけですね。
A.はい。
Q.(甲第16号証の20)これは身体障害者手帳の写しなんですけれども、これによると「頚椎症性脊髄症による両下肢麻痺(2級)」と書いてありますね。一種の二級ということになっているわけですね。これはよろしいですね。
A.はい。
Q.(乙第10号証の2)これは更生相談所の判定の中の医学判定なんですけれども、この身体機能のところですけれども、「左上肢、C7・8の支配領域に筋萎縮・筋力低下が認められ、特に左手内筋の萎縮は著明である」とありますね。この「C7・8」というのは、要するに腕の一定の部位を示すわけですね。
A.はい。
Q.あと、「両下肢にシビレ感、左足部外側には知覚鈍麻が認められるほか、右下肢に軽度の筋力低下、左下肢には著明な内反(痙性)・尖足および大腿四頭筋の筋力低下が認められる」といった状況が書いてありますね。
A.はい。
Q.これは、基本的には事故当日までそういう状況だったということでよろしいですか。大きく変わったところはありますか。
A.下肢の機能ですか。
Q.全体ですけれどもね。身体機能全般が。
A.しびれ感、知覚鈍麻については私が当時書いたカルテを確認しないと確認できません。それで、下肢のほうはこれでよろしいと思います。
Q.そうしますと、前回のあなたの証言の中で、右足の支持性は十分にあると、左足も長下肢装具を付ければ比較的良好であると言っておられますね。
A.はい。
Q.この言い方だと、支持性十分といってね、素人が聞くと普通の人と同じような機能があるのではないかと聞こえるんだけれども、これはあくまでも徳見さんが先ほど言ったような症状があることを前提にして、ただその範囲内では支持性があると、そういう意味ですか。つまり、支持性があるといっても、普通の人と同様に歩いたりとかいう機能があるということではないんじゃないですか。
A.ちょっと意味が分かりませんが。右下肢ですか。
Q.では、まず右についてはどうですか。
A.身体機能に限ってほしいんですが、身体機能に限って言えば、右下肢についてはほぼ正常です。
Q.右下肢に限って言うとというと、かえって分かりにくかったかもしれないんですが、要するに、装具をつければ普通の人と同じように歩くことができたんですか。
A.普通の人と一緒といっても、どういう意味で答えたらよろしいのか。スピードなのか、耐久性なのか。
Q.全体ひっくるめてですよ。
A.少なくとも通所しておられましたので、かなり普通の人に近い状態ではあったということです。
Q.通所していると普通の人と同じなんですか。
A.はい。
Q.それなら何も通所する必要はないんじゃないですか。
A.入所判定、通所判定の判断については、私はやっておりませんので、私は答えられません。
Q.普通の人であれば日常困難なくできることを、訓練という形で一生懸命やると、それに近いものができると、そういう意味じゃないですか。
A.今のちょっと質問分かりません。
Q.あなたは障害者に対して理学療法をやるのが仕事ですよね。
A.はい。
Q.訓練の中で普通の人に近い成績を上げると、もうそれでその人は普通の人と同じだと、普通の人と同じ能力があると理解しているんですか。
A.いや、今の質問の意味もちょっと分かりませんが。患者さんによってケース・バイ・ケースですから、一概に私はちょっと答えられないです。
Q.端的にこう聞きましょう。転倒するかどうかということについて、普通の人と同じように転倒を避ける能力は、徳見さんにはあったんですか。
A.はい。
Q.普通の人と同じですか。
A.全く一緒とはいいませんが、ほぼ一緒です。
Q.先ほどの装具をつけた状態でということですか。
A.はい。
Q.それと、先ほどの障害者手帳にあったけれども、徳見さんは頚椎症性脊髄症という診断を受けていましたね。
A.はい。
Q.この頚椎症性脊髄症の人に対する日常生活上の注意事項のようなものはあるんでしょうか。気をつけなくてはいけないこと。
A.たくさんあると思いますけど。
Q.例えば、頚椎部への外傷を与えるような行為は避けなくてはいけないと。
A.一般論としては、頚椎症にかかわらず、普通は当然のことだと思います。
Q.だけど、特に注意すべき必要性は高いんじゃないですか。
A.それは、整形外科および主治医の判断ですから。頚椎症の起こり方が皆さんそれぞれ違います。それの判断は、主治医の判断したその範囲内で我々は指示を受けてやっておりますので。
Q.あなたは医学的な知識は余りないんですか。
A.そんなことはないと思います。
Q.徳見さんは、例えば車の運転を、当時していたわけだけれども、以前の主治医の大成医師から、絶対にぶつけたりということをしないようにということとか、あるいは転倒したりしないように十分注意するようにということを言われていたと言うんだけれども、そういったことは、あなたは聞いていないですか。
A.聞いておりません。
Q.そういう注意がされていたとしてもおかしくはないですね。
A.車の事故に遭わないとか、転倒を避けるということですか。それはだれにでも言えることだと思いますが。
Q.だけれども、そういう病気の人にとっては、特にダメージが大きいということは言えるんじゃないですか。
A.いや、だから頚椎症もいろいろおられるわけです。
Q.あなたには分からないですか。つまり、徳見さんがそういうことを言われていたということは分からないですか。
A.徳見さんに関しては、そういう指示は一切主治医から伺っておりません。
Q.あなたが最初に徳見さんを担当するようになったのは、事故が起こる前年である平成2年9月からですね。
A.それも当時の記録を見ないと、いつからというのははっきり分かりませんが。
Q.前の年から担当していたということはいいでしょう。それも記憶にないですか。
A.カルテの日付を見れば分かると思います。
Q(裁判長).厳密じゃなくてもいいんです。一年間ぐらい担当していたでしょう。分からないですか。
A.……。
Q(森田).つまり、更生援護措置決定としての入所が決まるより前から、あなたは担当していたんでしょう。
A.はい、そうです。
Q.ですから、徳見さんがリハビリセンターの外来で訓練を受けていて、で、リハセンターのほうの判断で、この人は更生援護措置決定を受けて入所したほうがいいという判断がされたんじゃないんですか。
A.はい、そう伺っています。
Q.事故当日の平成3年2月26日のことを聞きますけれども、このときはあなたは徳見さんを担当していたんですね。
A.はい。
Q.徳見さんのほかに、このときあなたが同時に担当していた人はいるんですか。
A.同時に担当していた患者さんのことですか。はい。
Q.何人ありましたか。
A.はっきりとは覚えておりませんが、複数だと思います。
Q.徳見さんのほかに複数ですか。
A.はい。
Q.転倒事故が起こった際のことですけど、現場にいたのは、あなたのほかに、PTとしては秋田さんがいたわけですね。
A.はい。
Q.秋田さんはどこで何をしていたか、覚えていますか。
A.覚えておりません。
Q.部屋の中にいたことは覚えていますか。
A.はい。
Q.患者さんは全部で何人ぐらいいましたか。
A.運動療法室全体の患者さんの数ですか。それもはっきりと分かりませんが、理学療法士が4人いますから、一人あたり2、3人ずつ、ですから、概数しかちょっと分かりませんが。
Q.一人に大体3人ずつつくわけですか。
A.2、3名ですね。一人のときもありますが、当日の記録を見てみないと分かりませんが、それで大体目安で分かりますでしょうか。
Q.そうすると、感じとしては、患者さんが10数人ぐらいいるような感じですか。
A.いや、そんなにはいなかったと思います。
Q.その辺はっきり分かる資料がないもので、お聞きしたいんですけれども。そこにいた患者さんで、あなたとは名前が分かる人はいらっしゃいますか。
A.はい。
Q.サヤマさんという人はいらっしゃいましたか。
A.名前は聞いたことありますが、いらっしゃったかどうかは分かりません。
Q.あなたの担当ではない。
A.はい。
Q.コウジナさんという人はいらっしゃいましたか。
A.その方もはっきりとは覚えていません。
Q.ほかに誰か名前で記憶のある人はいますか。
A.小栗さん。
Q.それはあなたの担当の方ですか。
A.はい。
Q.ほかには、ご記憶のある方はいますか。
A.あとはホシノさんがいらしたんじゃないかと思いますが。
Q.それもあなたの担当の方ですか。
A.はい。
Q.ほかにもいらっしゃった。
A.ほかにはちょっと覚えていませんが。
Q.覚えていないけど、ほかにも何人か患者さんはいたということね。
A.いや、それも覚えていません。
Q.このときに、実習生の人がいたんじゃないですか。
A.それも覚えていませんが。
Q.覚えていないですか。
A.はい。
Q.リハセンターは、どこか決まった学校から実習生を受け入れたりはしているわけですね。
A.はい。
Q.実習性という言い方でいいわけですね。
A.はい。
Q.それは何という学校でしたか。
A.いや、覚えていませんが。
Q.覚えていないんですか。
A.といいますのは、学校は60何校ありまして、今は私は違う職場で、また、たくさんの学校がありますので、学校の名前は覚えていないんですが。
Q.少数の特定の学校ということじゃないんですか、リハセンターに来ている実習性というのは。
A.やっぱりそれは、私はちょっと記憶にないですから。
Q.事故が起きる前に、前回の証言ですと、あなたは徳見さんにベンチで休憩するよう指示したということですか。
A.はい。
Q.そういう記憶はあるんですか。
A.はい。
Q.あなたは、どこからそういう指示をしたんですか。(乙1第号証)見取図を見てください。宮崎理学療法士という★印があなたのいた位置ということになっているんだけれども、それはそれでよろしいんですか。
A.はい。
Q.そこから、あなたの証言によると、平行棒のところにいる徳見さんに声をかけたということですか。
A.声をかけたのは、ここではありません。
Q.どこですか。
A.この図ですと、マルAの辺りですね。
Q.そうすると、★印の位置に移動する前ということですか。
A.はい。
Q.ロールが落ちたときの様子ですけど、あなたはロールか現に落ちているところは見ているんですか。
A.はい。
Q.前回の証言ですと、患者さんの椅子の音で振り返って、見て、落ちるところを見たということですよね。
A.はい。
Q.(甲第16号証の39)ところが、この報告書によりますと、一番下のところに「ロールの音により振り向き、事実を目撃しておりました」と書いてありますよね。
A.はい。
Q.これは、あなたがこの間言ったことと違うんだけれどもね。
A.だから、ロールの音と、椅子に座っておられた患者さんが椅子をぱたっと倒した、そのとき一緒に、ほとんど同時ですから、そういうことを言ったんだと思います。
Q.だけれども、この報告書によると、「ロールの音により振り向き」と書いてあるでしょう。A.はい。
Q.だから、言っていることと違うじゃないですか。どっちが正しいですか。
A.いや、両方なんですが。
Q.最初に私が聞いたのは、「あなたはロールが落ちるところを見たのか」と聞いて、「見た」と言っていましたよね。
A.はい。
Q.だけど、落ちた音を聞いてから見たんじゃ、落ちるところは見えないでしょう。
A.はい。
Q.だから証言の中では、言い方を変えたんじゃないですか。要するに、報告書に書いてある中身だと、ロールが落ちるところを見れないはずですよね。
A.音がして振り向いたら、たしかに見えないと思います。
Q.そういう意味じゃ、この報告書の書き方は正確じゃないよね。
A.まあ、椅子の音と同時というような……。
Q.だって、そんなこと書いてないんじゃないですか。
A.そのことは、ほかの患者さんのことを、椅子を倒された患者さんのことは、報告書に書けないですから。
Q.何で書けないんですか。
A.それは徳見さんに関する報告書なわけで、ほかの患者さんに関しての判断というのは、また違う先生の判断を仰がないといけないですから、そういうことは書いていないわけです。
Q.それでは事実が違うじゃないですか。「ロールの音により振り向き」と書いてあるわけでしょう。そうすると、あなたは、その患者さんの立場を考えて表現を変えたということですか。
A.いや、書いたときは、そういうことは気づきませんでした。ちゃんとその後に「目撃しておりました」と書いていますので、ちゃんと見たということは書いておりますので、その点の配慮は特別しませんでした。
Q.そうすると、実際はロールが落ちる前に、落ちていくところを見ていたわけですか。A.はい。
Q.(乙第1号証)よく分からないんですけれども、見取図の中に椅子と書いてありますね。平行棒の前にね。
A.はい。
Q.この位置にその椅子があったわけですか。
A.はい。
Q.それは間違いないですか。
A.大体この辺と。
Q.その椅子の向かい側の平行棒の上にロールがあったと。この図だとそうですよね。そういう位置関係だったわけですか。
A.はい。
Q.その状態で、どういうふうにロールが落ちるんですか。
A.ちょっともう一回。
Q.非常に私も分からないんだけどね、この位置関係にあって、ロールがどういう方向に落ちるんですか。つまり、平行棒の端のほうに転がっていったら、この患者さんのいる椅子のほうにいっちゃうんじゃないですか。
A.いや、だから、3.5 メートルという数字が、この図では書いてありますが、その点線のほうに向かって落ちたんですが。
Q.だから、どうして落ちたんですか。
A.落とされたのは私ではないので、分からないんですが、立ち上がるときに、多分体で引っかけたんだと思います。
Q.この椅子のところで訓練していた患者さんがですか。
A.はい。
Q.ただ、そうだとすると、どうして○×点の書いてある方向に転がることになるんですか。
A.まっすぐ立ち上がらなかったのではないんですか。
Q.まっすぐ立ち上がらなくて、そのロールに体をぶつけたりなんかしたということですか。
A.と思います。
Q.そうすると、あなたが直接見たのは、最初、どういう状態からなんですか。
A.ロールが落ちているときです。
Q.平行棒から落っこちてきているところですか。
A.はい。
Q.その落っこちてきた位置というのは、椅子のある方向ではなかったわけですか。
A.はい。
Q.この3.5 メートルというふうに書いてある点線がありますね。そちらのほうに、つまり斜めに落っこってきたということですか。
A.はい。
Q.つまり、平行棒の上には、平行棒に対して、垂直にのっかっていたわけですよね。
A.はい。
Q.それが、そのまま、まっすぐ落ちたのではなくて、斜めに落ちたということでいいんですか。
A.はい。
Q.どうして、そういう落ち方をしたかは、あなたは分からないわけですか。
A.……。
Q.あなたが見たのは、その落っこっているところでしかないわけ。
A.はい。
Q.で、そのロールが地面に触れたときに、どういうふうに動きましたか。跳ね上がったりしませんでしたか。
A.しませんでした。
Q.このときの平行棒の高さはどれぐらいでしたか、覚えていますか。
A.70センチか80センチぐらいだと思います。
Q.私ども、ここの現場をお借りして、実際平行棒からロールを落っことしてみたことがあるんですけどね、大体弾んじゃうんですけどね。このときは弾まなかったですか。
A.はい。
Q.そうすると、下に落ちて、そのままころがっていったわけですか。
A.はい。
Q.落ちて、すうっと転がっていったわけですか。
A.はい、ゆっくり転がりました。
Q.もともと、このロールというのは、そう転がりやすいもんじゃないですよね。
A.はい。
Q.表面は柔らかいですよね。
A.はい。
Q.ゆっくりと3.5メートルも転がったんですか。
A.はい。
Q.3.5メートルとおっしゃるんだけども、あなたの今の記憶で、そのロールが転がってぶつかるまでの距離というのは、どれぐらいの長さだと思いますか。たとえば、この法廷の代理人の座っている台がありますね。この長さぐらいですか。
A.いや、それは訓練室に行けばわかりますが。
Q.ここじゃ、わかんない。
A.かなりおおざっぱになりますので。
Q.いや、ただ、これは現場でこの辺だろうということで、あなたが指示をして、それを計ったら3.5メートルということだったと思うんですけどね、その再現自体も、そう厳密なものではないんじゃないですか。
A.いや、わりと正確だと思います。それは理由があります。訓練室内は線が引いてありまして、歩行訓練とかに使う線があるんですが、それがわりと目印で、ほかの機器がいろいろ書いてないんですが、そういった機器を目印に、いろんな患者さんの訓練区分とメニューを指示していますんで、訓練室の中での場所に関しては、私の判断はそれほどおおざっぱではないと思いますが。
Q.3.5メートルというと、あなたの歩幅で何歩ぐらいですか。
A.いや、それは測ったことがないんで、分かりません。
Q.このロールが落ちてから転がって徳見さんに当たるまでの間、時間的にはどれぐらいでしたか。
A.ゆっくりというのは覚えているんですが、時間ですとどれぐらいでしょう……。
Q.あなたとしては、転がっていく様子を、この★印の位置からじっと見ていたわけですか。
A.はい。
Q.それは、けっこう、あっという間というよりは、じっと見ていたというぐらいの時間はあるわけですか。
A.はい。
Q(裁判長).普通のボールが転がって3メートル動くのに、やっぱり1秒とかちょっとかかるんじゃないかと思うんですがね、そういうものよりも速いんでしょうね。そのマットレスのものですから。
A.ボールが転がるほど速くありません。
Q.ボールと大体同じぐらいの速さだと考えていいんですか。
A.いや、もっと遅いです。
Q.そうすると、3メートル移動するのに、2秒ぐらいかかりましたかね。
A.約3秒ぐらい。
Q.やはり3秒ぐらいかかっただろうと思うと……。
A.はい。
Q(森田).3秒で3.5メートルも動いたんですか。
A.いや、その数字はちょっとあいまいですから、聞かれても困るんですが……。
Q.この時に、あなたは、分かっていたけど、ロールを止めに行こうとしたりとか、あるいは声を出したりとか、しなかったんだと前回言いましたよね。
A.はい。
Q.これは、「それほど危険なものではなかったからだ」ということをおっしゃったと思うんですけどね。
A.はい。
Q.ただ、11キロもあるロールですよね。
A.はい。
Q.それがとにかく転がっていって、ぶつかろうとしているのに、あなたは何もしなくてもいいと思っていたんですか。
A.はい。
Q.この乙第1号証の写真に原告の体の向きも再現しているんですけどね、これは、あなたは作成にかかわらなかったようだけれども、こういう向きでよろしいんですか。
A.はい。
Q.それは、あなたは直接記憶していますか。それとも、動きから見て、こういう向きじゃないかと推測されるということですか。
A.両方です。
Q.徳見さんが倒れたときの様子ですけどね、今乙第1号証の写真を示していますけれども、これの@からDまでですかね、これが倒れるときですね。(甲第16号証の39)図のほうを示しますが、これはあなたが直接ご自身で書いたんですね。
A.はい。
Q.これは、今でもこの通りでよろしいということですか。
A.はい。
Q.それと、先ほどの乙第1号証の写真も、これはこれで正しいだろうということですか。
A.はい。
Q.この乙第1号証の@の写真というのは、この甲第16号証の39の@番ですかね、これに対応すると考えていいんでしょうか。倒れる前の姿勢ですね。
A.はい。
Q.乙第1号証のAの写真ですけれども、これは甲第16号証の39だと、どの段階になるんでしょうか。厳密にぴったりとはいかないかもしれないけど、どの辺りになるんですか。
A.Bだと思います。
Q.Bぐらいですか。
A.はい。
Q.この甲第16号証の39のBとCというのは、どういう違いがあるんですか。
A.これは、右膝をついているのと、右膝をついていないの違いです。
Q.Bが右膝をついたところで、Cはその後完全に座り込んじゃった状態ですか。
A.はい。
Q.今の図で、もう一つ前のAですね、これはどういう状態を指していますか。
A.Aの状態は、下を向いている状態です。
Q.下を向いているというのは……。
A.分かりにくくてすいません。横棒が目なわけです。下を向いているということです。
Q.ロールに触れた後、どういう状態を描いているわけですか。
A.触れた後、ロールを見ておられるという状態です。
Q.ロールを見ているということですか。
A.はい。
Q.静止して見ているという状態があったということなんですか。
A.はい。
Q.乙第1号証の写真のほうを見ていただきたいんですけれども、この@からAへ行くところですけれども、これは、あなたの記憶でも、つまり、@の姿勢から一気にAの姿勢に行ったということになるんでしょうか。
A.はい。
Q.つまり、いきなり右の膝をついたということですか。
A.はい。
Q.あと、左足は、これは長下肢装具で固定されたままですよね。
A.はい。
Q.固定されたままで、左側に左足を伸ばした状態ということですか。
A.はい。
Q.それで右膝をついた……。
A.はい。
Q.それで両手を前についたということですか。
A.はい。
Q.これ、あなた実際に同じ装具をつけて、やってみたことありますか。
A.この格好はしてませんが、長下肢装具をつけての、いろんなタイプの転倒訓練とか……転倒訓練というのを我々やるんですが、転倒とか倒れから起き方というのは、全部実習しておりますが。
Q.だから、この徳見さんと同じような形で、装具をつけて前方に転倒してみるということを、やったことがあるんですか。
A.演習ではやったことがあります。
Q.これと同じ格好で……。
A.はい。
Q.恐くなかったですか。
A.いや、恐くないです。
Q.私はやってみて、前へ倒れるというのは非常に恐かったんですけどね、そういう感じはしませんでしたか。
A.一般的に、転倒ということでしたら、不意のことですから、恐いと思いますが。
Q.いや、ただ、この状態で左足を固定して、伸ばしたままで右膝をつくということ自体、けっこう恐いことじゃないですか。
A.そうは思いません。
Q.この乙第1号証添付の写真のAですけども、この姿勢のときにロフストランドの上の金具ですね、これは外れていますね。
A.はい。
Q.以下、Bの写真でも外れていますね。
A.はい。
Q.甲第16号証の39の図面ですけれども、これで見ると、たとえばCの図を見ても、これロフストランドをつけたままのように見えるんですけど、そういうことじゃないんですか。
A.はい。そうです。杖をつけたままということです。
Q.そうすると、あなたの記憶では、ロフストランド杖を装着したままの状態で倒れたということですか。
A.はい。
Q.ただ、再現写真では、そうなっていないわけですね。
A.はい。
Q.ロフストランドを、特に金具がこういう堅いものをつけたままで、前方に手をつくというのは難しいんじゃないですか。
A.いや、そうではないと思います。
Q.私、実際やってみて、けっこう引っかかって難しかったんですけどもね、そうは思いませんでしたか。
A.いいえ、どこが引っかかるんですか。
Q.この金具のところが引っかかってしまうんですよ。この乙第1号証の写真にあるように、外してずらすというようなことをすれば、投げ出せるんですけどね。
A.それは、冒頭で述べましたように、体によって、この太さを調整しますから、かっちりはめるわけではありません。
Q.私は実際に徳見さんの器具を使ってやってみたんですけどね、あなたの記憶としては、ロフストランドは外れていなかったということですか。
A.はい。
Q.徳見さんが倒れた後で、あなたは「大丈夫か」というふうに声をかけに行ったわけですね。
A.はい。
Q.声をかけた位置というか、姿勢ですけども、この乙第1号証のCのような、こういう方向なんですか。
A.はい。
Q.間違いないですか。
A.はい。
Q.「大丈夫ですか」というのは、どういう意味で声をかけたんですか。
A.問題がないかということです。
Q.「どこか体を痛めたんじゃないか」ということで声をかけたんですか。
A.はい。
Q.その後、起きあがるときの様子ですけどね、乙第1号証の写真E以下が起きあがるときの様子だということなんですけども、これはあなたの記憶通りですか。
A.はい。
Q.徳見さんは、普段でも起きあがるときには長下肢装具の止め金を外して足を曲げるようにして起きあがるんではないんですか。
A.両方できたと思います。
Q.できますか。
A.はい。
Q.この写真を見ても、左足を伸ばしたままだと、非常に上半身に力を入れないと起きあがれないように思うんですがね。普通の人でもけっこう大変じゃないですか。
A.私には意味が分かりませんが。
Q.こういう形で起きあがるのは大変じゃないですか。
A.大変と思いませんが。
Q.少なくとも、さっきのように、外せば簡単に足を曲げられるわけですからね。そうやって立ち上がったほうが自然ではないんですか。
A.膝を曲げたか、曲げなかったかということについて説明すればよろしいんですか。
Q.いや、あなたの記憶はどっちかということですよ。
A.それははっきり覚えてません。
Q.起きあがった後、徳見さんはどうしましたか。
A.はい。椅子に座られて、ベンチのところで休憩されたと思います。
Q.その後どうしましたか。
A.その後は、いつもの訓練をやりました。
Q.この「歩行訓練をやった」とおっしゃっているんだけどもね、これ、間違いなくやったという記憶、ありますか。
A.はい。
Q.ご本人は「やっていない」というんで聞くんだけどね、間違いなくこの日にやったという記憶ありますか。
A.はい。
Q.この歩行訓練ですけどね、歩行訓練の際、あなたは何をやるんですか。つまり、一緒について回るんですか。
A.回りません。
Q.これ、ご本人がストップウォッチかなんか持って、回ってきて時間をあなたに報告するわけですね。
A.ストップウォッチは私が持っていました。
Q.要するに、回ってきて、戻ってきたときにあなたに報告すると……。
A.はい。
Q.で、あなたが記録をとるということですね。
A.はい。
Q.あなたは、その間はほかの患者の面倒を見たりしているわけですね。
A.はい。
Q.(甲第16号証の49)91年2月26日の記載ですが、こういう記録を毎日つけているわけですね。
A.はい。
Q.これは、あなたが書いたものですね。
A.はい。
Q.まず、26日に限らず、この記録はいつ書くんですか。つまり、訓練をやりながら書くのか、あるいは、一日の訓練が全部終わった後で書くのか。
A.両方の場合があります。
Q.どちらが多いんですか。
A.……。
Q.どちらともいえない。
A.はい。
Q.じゃあ、この91年2月26日の記載は、いつ書いたか、覚えていますか。訓練やりながら書いたのか、全部終わってから書いたのか、あるいは翌日ぐらいにまとめて書いたのか。
A.それは、はっきり覚えてません。
Q.部屋を出るときに、あなたに車いすを、徳見さんが頼んでいますね。
A.はい。
Q.あなたの訓練が終わった後、その後の訓練の様子がどうだったかということは、あなたはご存知ですか。
A.はい。
Q.普段通りできていたんですか。
A.はい。
Q.(甲第16号証の40)これは大場さんの報告書ですね。
A.はい。
Q.これによると、たとえば「昼食時に箸が使用できないため、スプーンを貸してほしい」といった記載がありますね。あと、「歩行による移動訓練の時間であったが、車いすでやった」ということも書いてありますね。
A.はい。
Q.あと、下のほうを見ると「専門医に受診したい」ということを言ったということも書いてありますね。
A.はい。
Q.こういった意味で、やはり身体に変調をきたしていたということあるんじゃないですか。あなたは直接見ていないかもしれないけど、そういったことは聞いていたでしょう。
A.三階での状況は聞いていません。三階というのは、だから、生活訓練係からは……。
Q.端的に、今の甲第16号証の40に書いてある内容は、聞いていないわけですか。
A.はい。
Q.(平成6年12月15日づけ「被告準備書面(五)」末尾添付の原告歩行図)これは、あなたが作ったものですか。
A.いいえ、違います。
Q.要するに、原告徳見さんが歩くときに、こういうふうに足とか杖を動かすと、そういう図面ですね。
A.はい。
Q.ただ、これはまっすぐ前方に歩くことが前提ですね。
A.はい。
Q.ですから、たとえばその、弧を描いて歩くとか、そういった場合には、当然杖をつく位置、足をつく位置が違ってくるわけですね。
A.曲がるときですか、はい。
Q.あと、実際には、この通り規則的に歩けるとは限らないですよね。ぴったりこういう位置で歩けるとは……。
A.大体こうだと思いますが……。
Q.要するに、これは大体を示したものですよね。
A.はい。
Q.この2月26日以前にも、「転倒することがあった」ということをおっしゃっていますよね。
A.はい。
Q.(甲第16号証の49)91年1月28日の記載ですが、たとえばここで「こけちゃった」というようなことが書いてありますけども、この時なんかも、一つの転倒の例ということになるんでしょうか。
A.はい。
Q.この時は、どういう事情か分かりますか。
A.これは装具室で起きたことですから、私は見てませんので、分かりません。
Q.これはあなたが書いたものじゃないんですか。
A.私が書いたものです。
Q.聞いたことを書いたということですか。
A.はい。
Q.そうすると、必ずしも、転倒といっても、直接あなたが目撃したことばかりではないわけですか。
A.はい。
Q.(甲第16号証の63)90年12月5日の記載ですが、ここの真ん中からちょっと下のところに「LLBのロック外して歩行、転倒(+)」と書いてありますね。LLBというのは、これは長下肢装具のことですか。
A.はい。
Q.「ロック外して歩行」というのは、これは「そういうことをしてみろ」ということを、あなたが指示したんですか。
A.はい。
Q.そうしたら、転倒になったということですか。
A.はい。
Q.この時は、実際に地べたにつくほど転倒したんですか。先ほどと同じように……。
A.先ほどと同じような感じです。
Q.実際、膝をついて、というところまでいったんですか。
A.はい。
Q.あまり、それは身体に良くないんじゃないですかね。そう思わなかったですか。
A.いや、思いませんでした。
Q.この時以外にも、わざと長下肢装具のロックを外して動かしてみる、というようなことをやったことがあるんですか。
A.いや、わざとではないです。訓練としてやっているわけです。
Q.だから、意図的にしたわけでしょう。
A.はい。
Q.ただ、そうすると、どうしてもバランスはとりにくくなりますよね。訓練としてやっているんでしょうけども、要するに、ロックを外した状態でバランスを保てるようにするような訓練を試みたことがある、ということですか。
A.それはバランスの練習ではないですよ。左下肢の長下肢装具の筋力をつける訓練です。
Q.ただ、そうすると、さっき言ったように、転倒するようなことになることもあるわけでしょう。
A.はい。
Q.ビデオ撮影のことですけども、原告の承認を得て訓練の様子を写したということですね。
A.はい。
Q.徳見さんに対しては、どういう説明をしたか、覚えていますか。
A.はい。治療計画を立てるために、評価として撮影させてほしいということで、それと、いやだったら断われると、それで、対外的には公開しないということですね。これは通常はほかの患者さんについても、同じようなことをやっていますから、そうだと思います。
Q.写したものを本人に見せて、訓練に利用するといったことは、したことありますか。
A.はい。
Q.見せたこと、あるんですか。
A.誰にですか。
Q.徳見さん本人に。
A.徳見さんには……、それは覚えていません。
Q.一般に患者さん本人に見せることはあるんですか。
A.はい。
Q.日常生活動作については、写していないということだけれども、これは徳見さんがいやだと言ったから、写さなかったわけですね。
A.いいえ、違います。もともと私は訓練室で仕事をしていますから、日常生活動作は撮影できないです。
Q.もともとそれは、あなたの範囲じゃないわけですか。
A.はい。
Q.甲第16号証の40の「転倒後報告」、これは大場さんという人があげたものですけど、こういったものも作っていないですね。
A.はい。
Q(大塚).(甲第16号証の2)平成3年2月26日のところですが、こういうものは見覚えがありますね。
A.はい。
Q.この筆跡は誰の字ですか。
A.いや、分かりません。
Q.サインが「井上」と書いてありますから、井上さんではないですか。
A.……。
Q.井上さんというのは、どういう方ですか。
A.生活指導員です。
Q.甲第16号証の2をずうっとさかのぼっていくと、大体同じような筆跡で書かれているように思えるんですけど、これは何のための資料だかご存知ですか。
A.これは更正施設の記録です。
Q.たとえば、先ほどの平成3年2月26日のところを見ると、「宮崎PTより」と書いてあるんですけど、これはあなたか聞いたということで書かれているものというふうに判断してよろしいですか。
A.はい。
Q.それは、その日その日にあった出来事をそのつど報告しているということですか。
A.毎日ではないです。
Q.そうすると、毎日ではないとすると、どういうふうに報告して入るんですか。
A.いや、変わったことがあったときに……。
Q.変わったことがあったときに、その日のうちに報告しているということですか。
A.はい。
Q.(甲第16号証の49)それの91年2月26日の欄ですが、転倒事故のあった日のものですけども、ここに「Gait Speed」という記載がございますね。
A.はい。
Q.その下に「ローラーにぶつかり転倒(+)」という記載がありますね。
A.はい。
Q.これは誰が書いた記載ですか。
A.私です。
Q.これは、いつ記入しましたか。
A.2月26日です。
Q.これは、変わった出来事ですか、変わった出来事ではないですか。
A.いや、カルテの書くべき事項ですから、書いただけです。
Q.そうすると、特異な出来事だったというふうに、あなたは考えたということかな。
A.はい。
Q.それを井上さんに報告しましたか。特異な出来事だったというなら、報告していたでしょうね。
A.はい。
Q.ここに「バランスoffとなったというより、自ら前方へ転倒」と書いてありますね。
A.はい。
Q.これは、徳見さんが自ら倒れたと、こういう表現ですか。
A.はい。
Q.あなたとしては、それは何か特別な意味があるというふうに考えたんですか。
A.そう見えたから、そう書いたわけです。
Q.普通、障害を持った方が、自分で前方に倒れるというようなことがありますか。
A.一般的にはないです。
Q.ないですよね。もし、そんなことがあったんだとすると、これはちょっとおかしなことですよね。違いますか。
A.いや、一般的には大変なことです。
Q.だから、書いたんでしょう。違いますか。
A.いや、そういう意味とは違います。それは一般論で、個々の患者さんの転倒の仕方というのは、また違う話ですから。
Q.個々の患者さんの転倒じゃなくて……。
A.カルテにはその当日あったことを、そのまま記載しているだけです。ですから、特異なことだなんだというより、そのままあっことを、そのまま書いていって、というのが現実です。
Q.その日のうちにあっことが、すべてここに書かれているわけじゃないですよね。たったこれだけしか書いてないですから。
A.はい。
Q.その中から、あなたが取捨選択して、ここに書いているわけでしょう。
A.はい。
Q.あなたが意味があることだと思うことを、書いているわけですよね。
A.そうです。
Q.(甲第16号証の2)もう一回これに戻りますけれども、平成3年2月26日の「宮崎ptより」というところ、そこに「徳見さんが自ら転倒した」ということは、書かれていないんですよね。
A.はい、書いてません。
Q.なぜでしょうね。
A.分かりません。
Q.(乙第1号証)添付の見取図ですけどね、これまでのお話では、これの左上の三番目の平行棒にロールが乗っかっていたということですね。
A.はい。
Q.その平行棒の右側に椅子があって、患者さんがいたということですよね。
A.はい。
Q.患者さんは、そのロールを使って、何か訓練をしていたということですよね。
A.はい。
Q.その訓練の担当の療法士さんは、誰だったんですか。
A.私です。
Q.あなたはその時、どこにいたんですか。
A.関節可動域訓練をなさっていた時ですか。
Q.はい。
A.関節可動域訓練はかなり長くおこないますので、一定の場所にはいませんでした。
Q.すぐそばには立ち会ってなかったんですか。
A.はい。
Q.そうすると、この患者さんが一人で訓練をするのに任せていたということですか。
A.はい。
Q.その患者さんが訓練を終わった後に、ロールが落ちたんですか。
A.はい。
Q.訓練を終わると、通常、療法士としては、その後どうするんですか。
A.……。
Q.今おっしゃったような訓練が終わったとき、理学療法士は見ているだけですか。ロールは平行棒の上に乗せっぱなしですか。
A.いや、片づけます。
Q.この時は、どうして片づけなかったんですか。
A.いや、だから、終わるときですよね。だから、この患者さんの場合は、自分で片づけられる方でした。
Q.今、だって、終わった後は、ロールを療法士が片づけると言ったでしょう。
A.私の責任のもとにおいて片づけるという意味ですから、私とか自主トレーニングなさる方は、自分で片づけられますし、いろいろあるということです。
Q.この患者さんは、何という人でしたか。
A.小栗さんという人です。
Q.この方は、自分でこのロールを片づけられるような方だったんですか。
A.はい。
Q.自分でこの平行棒から降ろして、どこに片づけるはずだったんですか。
A.当日の置き場所は、私、今覚えてませんが。
Q.片づけるというんだから、どこか片づける場所が決まっているんでしょう。
A.はい。
Q.どこに片づける予定だったんですか。
A.いや、ですから、それまで私は、昔のことで、よく覚えていないです。
Q.「昔のこと」って、あなたがいた当時、普段おこなわれていることでしょう。ロールはどこに片づけるというのは、決まっていなかったんですか。
A.いや、ですから、私、今ここに在職しておりませんので、記憶がないです。
Q.今のことを聞いているんじゃないですよ。あなたが当時いたときのことを聞いているんですよ。
A.いや、だから、記憶はないです。
Q.それから、同じこの図面ですけども、これで見ると、マルAからマルBに徳見さんが移動する途中でロールが当たった形になっていますね。
A.はい。
Q.そうすると、この図で見ると、後方から当たっているということになりませんか。
A.右の後ろのほうではないですか。
Q.この図の作成に、あなたはかかわってはいないということでしたか。
A.私はこの図は知りません。