95.6.15
Q(質問):被告代理人(栗田) Q.あなたの職業は理学療法士ですね。 A.はい。 Q.理学療法士というのは、どのようなことを主に仕事の内容としているんですか。 A.運動器疾患ですね、主には脳卒中とか交通事故後の運動器疾患の機能訓練を行う職業です。 Q.あなたは、理学療法士として、原告の徳見康子さんがリハビリテーションセンターに外来で通院している時から平成3年2月26日に転倒事件が起きるまで徳見さんの担当をされていましたね。. A.はい。私が担当していました。 Q.平成3年2月26日の午前9時半ごろですか、リハビリテーションセンターの運動療法室で原告の徳見康子さんが転倒するという事件がありましたね。 A.はい。 Q.あなたも現場にいましたね。 A.はい。 Q.(甲16号証の39を示す)この報告書は、平成3年3月4日、先程言いました平成3年2月26日に起きた徳見さんの転倒事件の様子を現場にいたあなたと秋田理学療法士が主治医の高塚博先生に報告した報告書ですね。 A.そうです。 Q.徳見さんの当日の理学療法のスケジュールですけれども、この報告書の二の所に「同日の訓練内容は、定例の訓練内容と同一であり、 階段昇降、 平行棒内での立位保持、傾斜台での立位保持しての足関節底屈筋群の持続的伸張、 屋内廊下での歩行訓練でした」とありますけれども、これはそのとおりですね。 A.はい、そのとおりです。 Q.徳見さんが平行棒内での立位保持訓練が終わった後、平行棒上にあったロールが落ち たということがありましたね。 A.はい。 Q.(乙第1号証を示す)添付の運動療法室見取り図を示しますが、その時あなたがいた場所なんですけれども、この見取り図でいうと、下の方に★印で「宮崎理学療法士」と書かれていますね。 A.はい。 Q.この場所ですか。 A.はい。 Q.(甲16号証の39を示す)この報告書によりますと、この報告書の二の第3段めに「同日午前9時30分頃、徳見康子殿以外の患者が、平行棒上の役30Ccm 径の訓練用ロールの上に上肢を乗せて実施していた上肢の関節可動域訓練を終了し、椅子から立ち上がる際、誤って、高さ82cmの平行棒上より、両ロールを床に落としてしまいました」ということですね。 A.はい。 Q.これはそれで間違いありませんか。 A.はい、間違いありません。 Q.二段目、「上記平行棒内での立位保持の訓練が終了し、傾斜台での立位保持しての足関節底屈筋群の持続的伸張訓練を実施するため、運動療法室内を両側ロフストランド杖、長下肢装具使用して歩行中発生しました」と、発生したのはその時だと。 A.はい、そうです。 Q.歩行中発生したとなっていますけれども、この時、徳見さんはとこに行こうとしていたんですか。 A.平行棒内での立位保持訓練の後ですから、平行棒内での立位保持訓練の時はタイマーを使うことになっておりますんで、そのタイマーを私が徳見さんにわたして、それで、後でまた立位保持訓練が終わりました時に私が取りに行きますから、その後ですから、その後は平行棒から、先程の図があれば。 Q.(乙第1号証を示す)添付の運動療法室見取り図を示します。この黒丸の点(・)に沿って、評価測定室の前にベンチとありますが、訓練の各メニューのインタバルには休憩をとりますので、このベンチで休憩するように私が指示しましたので、そこに向かって歩いている時です。だから、ベンチに向かってです。 Q.あなたは、ロールが落ちたのはいつ気が付きましたか。 A.平行棒内の立位保持訓練が終わった後、徳見さんが歩行中に、そのロールを落とした患者さんが椅子から立ち上がる際にロールを誤って落としたんで、椅子がガタンとする音の時に気づきました。 Q.椅子がガタンとする音が聞こえて、それで、そちらの方向を見ると、これはロールがもう落ちていた、落ちるところ。 A.ガタンというのと落ちるのが大体同時ですから、ガタンという時に見ましたけど。 Q.再び甲16号証添付の運動療法室見取図を示しますが、この図面でその落ちたロールはどこに乗っていましたか。 A.これだと平行棒の3のCの所ですね。 Q.(甲16号証の39を示す)この報告書の2の3行目の後ろのほうから「同ロールは、歩行中の徳見康子殿の約3m50cm離れた右側方から、ゆっくりと本人の方へ近づいて行きました」と、このようにありますが、それはそのとおりですか。 A.はい。 Q.この報告書2枚目の図面を示しますが、徳見さんがロールにぶつかったのは、この図面の真ん中よりやや上、×印がありますね。この位置ですか。 A.はい。 Q.徳見さんにロールが接触した時のロールのスピードはどの程度でしたか。 A.大変ゆっくりしたもんで、ほとんど止まっていたような感じでした。 Q.このときのロールのころがり方は徳見さんにとって危険なものでしたか。 A.いいえ、そうは判断しませんでした。 Q.あなたは理学療法士としてもうかなり長いことやっておられると思うんですけれども、転倒などの危険がある場合はどのようにするように指導ないしは教育、訓練を受けていますか。 A.大声を出して危険を知らせます。ないしは、自分ないし近辺にいる理学療法士が必ず即座に事故を回避するように駆けつけるようになっております。 Q.本件ではそのようなことをされましたか。 A.いいえ、やっておりません。 Q.それは、そのようなことをする必要が全くなかったからと、そういうことですか。 A.はい。 Q.(乙第1号証を示す)末尾添付の写真 を示しますが、これは被写体は当然徳見さんではないんですけれども、徳見さんにロールが接触した時の状況というのは、この写真 の、いわゆる右足側方から当たったと、このとおりですか。 A.はい。 Q.その時、徳見さんは長下肢装具を左足につけて両手はロフストランド杖を持っていた と。 A.はい。 Q.長下肢装具というのは、この写真 でいうとどれになりますか。 A. の写真では左下肢につけている装具のことです。 Q.これは何のために装着するものなんですか。 A.膝関節と足関節の支持性のない方が立位とか歩行の時にその支持性を与えるものです。 Q.ロフストランド杖とはこの写真でいうととれになりますか。 A.この両手に持っておられる杖のことです。 Q.これは何のために装着するものですか。 A.バランスの悪い方が歩かれる時に使う杖です。 Q.(甲16号証の39を示す)この報告書によりますと、接触後の徳見さんの様子は、報告 書第2の3段目の6行目の真ん中辺りから書かれていますけれども、「ロールが、右下 肢に接触した時は、立位保持しておられましたが、約1秒間の後、前方に両手を接触し、 左下肢は、伸展外転移のまま、右膝を接地した後、右大腿外側より床に座りこんでしま いましたとありますけれども、「その様子は、図1から図5に示すようなものでした」 と、ひこれはそのとおりですか。 A.はい。 Q.この「図1から図5」というのは、同報告書添付の図面の右側に人間様のものが書い てありますね。 A.はい・ Q.これがその様子だということですか。 A.はい。 Q.(乙第1号証を示す)末尾添付の写真を示しますが、ちょっと先程の図ではわかりづ らいので、左下肢は伸展外転位のまま右膝を接地して右大腿外側より床に座り込んだと いう様子は、これでいうと、 、 、こういう状況を指しているわけですか。 A.はい。 Q.このように接地して座られたの後、あなたはどうされましたか。 A.近くに行きまして、「大丈夫ですか」と声をかけました。 Q.すると、徳見さんはどう答えられましたか。 A.「大丈夫です」と答えられました。 Q.その時の徳見さんの声の調子はどのようなものでしたか。 A.特に普段と変わりませんでした。 Q.その後、徳見さんが椅子に座るまでの状況は、この写真の から 、 、 、 、 、 、大体このようなものでしたか。 A.はい。 Q.徳見さんが転倒したとき、人が集まったとか他の理学療法士が駆け寄ってきたと、そ ういう事実はありますか。 A.ありません。 Q.その後の訓練はどうしましたか。 A.普段どおり通常のメニューをこなしました。 Q.(甲16号証の49を示す)これはあなたがつけていた徳見さんの理学療法の記録ですね。 A.はい。 Q.これの91年2月26日の欄を示します。いわゆる転倒事件の起きた日ですけれども、 この26日の欄の一番上、これは「Gait Speed」と書いてあるんですか。 A.はい。 Q.その後数字が書いてありますね。 A.はい。 Q.これは何を記載したものですか。 A.訓練で行なっております廊下で行なう屋内歩行訓練の時の所要時間ですか、歩行スピ ードを表わしています。 Q.そうすると、この日はその事件後屋内廊下での歩行訓練を実施して、あなたがその時 間を記載したと、それがここに書かれているわけですか。 A.はい。 Q.この日のスピードというか、歩行距離はこれからわかりますか。 A.はい。1OOメ−トルが3つありますから、3OOメートル連続して歩いたというこ とになります。 Q.その隣に「(両杖LLB)」とありますね。これはどういう意味ですか。 A.先程出ました両側のロフストランド杖、ロフストランド杖を2本使って、左足のほう にはLLB、長下肢装具ですね。長下肢装具を使って歩行した歩行速度ということです。 Q.それで、3OOメ−タ−歩いたということですね。 A.はい。 Q.このスピードというのは、日頃の徳見さんの歩行スピ一ドと比べて著しい変化があり ますか。 A.いいえ、ありません。前日の記録を見れば、かなりいいほうのタイムです。 Q.前日というのは、91年2月25日の欄。 A.はい。 Q.この2月25日の上の数字は何と書いてあるんですか。 A.これは7分17秒です。 Q.その下は。 A.7分46秒 Q.その2月26日の時の上は。 A.4分16秒です。 Q.ただ、2月25日のほうは、ここの上に「片杖」となっていますよね。 A.はい。 Q.両杖とはちょっと違うということですか。 A.はい。2月25日は片杖です。 Q.そうすると、ちょっと両杖の比較はわかりませんけれども。 A.記録が確かカルテにメモがあったと思うんですが。 Q.甲16号証の49の最後から2枚目の「Gait Speed」の一覧表を示しますが、 この一覧表からわかりますか。 A.はい。悪いタイムではないことが。 Q.どれを見ればわかりますか。 A.この書類を説明してよろしいですか。 Q.2月26日は数字が3分48秒。 A.はい。その書類の一番上の段の左端に「両杖/t LLB」と書いてありますが、そ こに所要時間、高速度のが書いてありますが、1OOメートルのタイムですと、91年 の1月9月に3分33秒、1月16日が2分4O秒、1月3O日が8分O6秒、1月3 1日が8分54秒ですから、先程の4分とか3分のタイムはそれほど悪い値ではないで す。 Q.甲16号証の49の91年2月26日の欄の8行目ぐらいに、「#」の印があって「Program 同様」と記載がありますね。これはどういう意味ですか。 A.普段どうりの訓練を行なったということです。 Q.それを記載したと。 A.はい。 Q.その記載の上に「ローラ一にぶつかり転倒(十)、ローラーがころがってきて転ぶほどではないのだが、バランスoffとなったというより、自ら前方へ転倒」と、これは当日の転倒事件のことをあなたが感想を記載したものということですか。 A.いや、感想ではなくて、このように見えたということですね。 Q.自ら前方へ転倒したように見えたと。 A.はい。 Q.2月26日の、やはり同じ欄の一番下ですね、「帰室の際、W/C」ですか、「W/C」というのは何ですか。 A.車イスのことです。 Q.そうすると、帰室の際、車イスを要求、これは「疲労のため」というのかな。 A.はい。 Q.「指導員へ連絡」とありますね。 A.はい。 Q.これは、当日、疲労のために徳見さんから車イスの要求があったと、そういうことですか。 A.はい。 Q.2月26日以前も徳見さんが疲れを訴えて車イスを要請したことがありますか。 A.はい、あります。 Q.甲第16号証の49の91年1 月29日の欄を示しますが、この欄の上からいくと、11行目ですけど、「W/C」、いわゆる車イスですね。 A.はい。 Q.これは「徐々にとるよう指導、疲れなければ」と、その下に、これは「今日は、疲れているので(w/cは)とれない」と書いてありますね。 A.はい。 Q.これはどういう意味ですか。 A.車イス移動を当日はなさってましたので、我々は車イスを卒業しまして歩けるようになるために訓練しておりますんで、疲労の問題がなければ車イスの使用をやめて歩いてほしいということです。 Q.それが「疲れなければ」という意味ですね。 A.はい、そうです。 Q.当日は。 A.当日は徳見さんの請求ですね。「今日は疲れているのでとれない」ということです。Q.そのまま車イスを使用したということですか。 A.はい、そうです。 Q.徳見さんの本件転倒事件前の運動能力についてお聞きしますが、右足についてはどうでしたか。 A.右足については特に問題はありませんでした。 Q.特に問題はないというと、よく支持性という言葉使いますよね。 A.はい。 Q.支持性というのは十分あると。 A.はい。 Q.支持性というのを簡単に説明していただけませんか。 A.支持性というのは.たとえば歩いている時に足がしっかりと支えられるということです。 Q.それは、体を支えるというか、そういう能力があるということですか。 A.そうです。 Q.甲第16号証の49のおしまいから6枚目、これはマニュアルマッスルテストというんですか。 A.はい。 Q.マニュアルマッスルテストというのは、どういうテストですか。 A.徒手による筋力テストです。 Q.徒手というと。 A.実際に理学療法士の手を使うということです。それが徒手ですね。 Q.このテストから先程の右足の支持性が十分にあったということが分かりますか。 A.はい。 Q.どれを見れば分かりますか。 A.マニュアルマッスルテストの縦書きの部分ですね。縦書きの部分の「HIP、K、A、FOOT」と書いてあるところが、それぞれ股関節、膝関節、足関節、足部というのを表すんですが、そのところの右足の部分のその評価判定ですね。「F+(C)」とか「N」とか書いてありますが、それを見れば分かります。 Q.「F+」というのは、支持性は十分あると評価できるということですか。 A.はい。 Q.「G」というのもそのことだということですか。 A.はい。 Q.この「F+」というのは、どういうことをいうんですか。 A.「F+」というのは、徒手による筋力テストというのは、患者さんに思いっ切り力を入れて関節運動をやってもらうんですが、その時に理学療法士がその患者さんに抵抗をかけるテストです。「F+」というのは、非常に軽い抵抗をかけてその関節が動かせるということです。「G」というのは、比較的強い抵抗をかけても大丈夫だということです。 Q.このテスト以外に、その他、徳見さんの右足について。支持性が十分あったことを裏付けるような事実がありますか。 A.ほかには片杖で歩けたこと、そのほかには歩いている形ですね。歩容の問題ですね。歩容が良かったということです。 Q.徳見さんの場合ですけど、片杖歩行というのは、その右足の支持性がないとできないですか。 A.はい。 Q.左足については、長下肢装具をつけるとどの程度支持性がありましたか。 A.左下肢についても、股関節の支持性は十分でしたから膝関節と足関節は先程長下肢装具の説明でやりましたように.崩れないように固定されていますから、割と大丈夫な、支持性は比較的良好になるはずです。 Q.長下肢装具をつければ支持性は比較的良好であると。 A.はい。 Q.(平成6年12月15日付被告準備書面(五)添付の「原告歩行図」を示す) この図は徳見さんが長下肢装具をつけて両手ロフストランド杖で歩行する場合の足の位置と杖の位置を記載したものですが、徳見さんが歩行する場合はあなたがずうっと坦当していらっしゃってほぼこのとおりですか。 A.はい。 Q.通常。このように歩行していた場合に。ロ−ルが前面からころがってきて徳見さんの右足に接触するとなると、この図でいうとどの時ですか。 A.右足に接触する場合は図2の右足前方時、図2になります。 Q.この場合、先程あなたが言った右足の支持性、それから長下肢装具をつけた場合の左足の支持性・このような運動能力からして、本件のようなロールがころがってきた場合ですね、又は接触した場合、後方に転倒するという可能性はありますか。 A.ロールが右足に。どちらからぶつかるんですか。 Q.側方から。 A.側方からきた場合は後方に倒れることはありません。 Q.後方に倒れる可能性がないということはどうしてですか。 A.この場合ですと、前方のほうに杖で足それぞれを結んだ支持面ですね。体を支持している面もありますけれども、それの比較的前のほうに重心が乗っていますから、前方からショックがきた場合後ろに倒れるということはないです。 Q.徳見さんはこれまで何度か訓練中に倒れると、そういうふうなことはありましたか。A.はい。 Q.(甲第16号証の49を示す)1月18日の欄を示しますが、この下から6行目ぐらいかなんですけど、「1周目後Pt」Ptというのは。 A.これは患者さんのことです。 Q.患者さんが「『右U/Eが疲れる』今度は左U/Eでやってみる(左上肢で杖支持)」と書いてありますね。これはどういうことですか。 A.これは、片杖歩行訓練の時に右上肢が疲れるという訴えがありましたんで、今度は左の上肢でやってみると、そういう意味ですね。 Q.そういう徳見さんからの申し出があったということですね。 A.はい。 Q.「Th」というのは誰を指すんですか。 A.セラピストの略ですから、理学療法士のことです。 Q.そうすると、あなたですね。 A.はい、私です。 Q.「『左U/Eは使えないと言っていたのに大丈夫か』(以前)こういってたびたびEx」、「Ex」というのは。 A.理学療法の訓練を指します。 Q.理学療法中転倒ありと記載ありますね。 A.はい。 Q.この記載からいうと、申し出があって、こういうふうにたびたび理学療法中転倒があったと、そういう事実はあったということですか。 A.はい。 Q.こういうふうな訓練中に徳見さんが倒れる場合ですね。倒れ方はどのような倒れ方ですか。 A.やっぱり一緒ですね。前のほうに手をつきまして、右足の膝をついて座り込むような感じに倒れられます。 Q.徳見さんの四肢の運動能力からすれば、リハビリによりどの程度の歩行の改善が可能だと考えていますか。 A.運動機能だけに限れば、杖なし歩行が十分可能な能力だと思います。 Q.やっていって、結果はどうでしたか。 A.結果は、両杖歩行にとどまっていますから、あんまりうまくいかなかったということです。 Q.(甲第16号証の63をしめす)これは徳見さんが外来で通院されていたときのあなたの理学療法の記録ですね。 A.はい、そうです。 Q.この記録もあなたがしたものですね。 A.はい。 Q.これの90年の12月12日欄を示しますが、このページの真ん中から約下のほうに「やはり、精神状態により、右足部の筋緊張に変化有り。つまり運動機能の改善には精神面の安定、改善が必要である」と、このように記載してありますね。 A.はい。 Q.そのまた下の下に「声かけをすると、腰部を手で叩いて腰が痛いふりをしたりする。全てのふるまい、動作が演技的である」という記載がありますね。 A.はい。 Q.これは、あなたにおいて、リハビリの効果が思わしくないのは心理的なものが疑われる、たとえば精神面の安定だとか改善が必要だと、そういうふうなことを感じていらっしゃったんですか。 A.はい。 Q.(甲第16号証の49を示す)91年の1月30日の欄の最後から2行目に「以上にて本日疲労感の訴え強く、Ex中止」と、その下は「昨日と本日、メニュー消化不十分」と、そういうふうに書いてありますね。 A.はい。 Q.これは、だから、疲労の訴えが強くて訓練を途中で中止したと、メニュー消化が不十分であると、そういうことですね。 A.はい。 Q.31日の欄に、この下のほうにも「以上にてEx中止」、上肢、「肩周囲の疲労感強く訴える。本日もEx量少ない」と、この日も何かそういうふうな状態だったということですか。 A.はい。 裁判長Q.上肢というのは腕という意味ですか。 A.腕全体を指します。肩から手の先まで。Uですから、アッパーソリミティーです。 被告代理人(栗田)Q.91年2月6日の欄を示しますが、この6日欄の最後の所ですけれども、「Exの意欲も低く、休んでばかりいる」と、その後、「疲労、耐久性不十分によるものだと言い、再三Exを中止しようとすすめるが、帰室せず」と、「結局、Mat」というのはマットでよろしいんですか。 A.はい。 Q.マット上にてゴロゴロと90分過ごすと、この日もなんとなく訓練はあまり乗り気ではなかったと、そういう感じですかね。 A.はい。 Q.そういうのが記載してあるんですね。 A.はい。 Q.91年2月14日の欄ですけれども、「本日はローカ2周で中止、腰部左下肢の疲労を強く訴える。安静を指示、『無理をしないように』」と、そういうふうな訴えがあって、91年2月15日の欄ですけれども、この最後のほうも「本日も疲労の訴え強い。歩行にさいしては意欲低い」と。 A.はい。 Q.これから見ると、徳見さんは転倒事件以前から非常に訓練を嫌がったと、そういうように見てよろしいんでしょうか。 A.はい。 Q.とか意欲も日によって変わると。 A.はい。 Q.徳見さんについて、ビデオを撮影しましたね。 A.はい。 Q.これは何を撮影したんですか。 A.足関節のストレッチの訓練とマット上の移動訓練、あとは立ち上がり訓練、歩行訓練、立ち上がりというのは、平行棒で立位保持をやる時の訓練です。 Q.これらの撮影は徳見さんの承諾を得て行ったものですか。 A.はい。 Q.日常の生活動作など、そういうものは一切撮影していませんね。 A.はい。 Q.先程言ったものだけど。 A.はい。 Q.これらのビデオの撮影は何のために行うんですか。 A.訓練の時のプログラムつくるためにやります。 Q.それは、やはりプログラムを組む上でビデオを撮る必要があるということですか。 A.プログラムを立てるときの参考だけじゃなくて、訓練を進めまして後で患者さんのほうにフィードバックできるというメリットもあります。 Q.視覚的にフィードバックできる。 A.はい。 Q.これはほかの患者さんにもご同意を得てやっているんですか。 A.はい。 Q.徳見さんに対する理学療法の中で何かテストをしたことありますか。 A.はい。 Q.(甲第16号証の49を示す)これの後ろから6枚目、この辺から何かテストの記載みたいなのが書いてあるんですけれども、マニュアルマッスルテストですか、それとレンジ・オブ・モーション、これもテストになりますか。 A.はい。これは関節可動域を調べるテストです。 Q.それから、3番目に感覚テストとありますね。 A.はい。 Q.これはどういうふうなテストになるんですか。 A.感覚の異常または鈍磨などがある部位を探して、また、その感覚の種類ですね、それがどの程度阻害されているかというのをみるテストです Q.あと、この次の欄は、これは、テストではなくて、訓練中の記録ですね。 A.はい。これは歩行訓練のメモです。 Q.ゲートスピードもそうですか。 A.はい。 Q.この今のマニュアルマッスルテスト、それから、レンジ・オブ・モーションのテストですね。それから感覚テストと、これは理学療法上何のためにするんですか。 A.理学療法の非常に重要なテストでありまして、患者さんの訓練のプログラムを立てるためにするテストです。 Q.こういうテストをしないと、理学療法のプログラム自体は立てられますか。 A.立てられません。 Q.これらのテストが理学療法の三種の神器と呼ばれているものなんですか。 A.はい。 Q.そうすると、これなくしては、理学療法のプログラムを立てられないし、合理的な理学療法もできないと。 A.はい。 Q.甲第16号証の49のおしまいと、おしまいから2ページ目を示しますが、これは先程の訓練中の歩行スピード等を記載したもの、一番最後は表に直したものですかね。 A.はい。 Q.これは何のためにするものなんですか。 A.訓練の状況のバロメータですね。その日のどれだけやったか、どの程度できたかというのを記載したものです。 Q.これはゆくゆくご本人のためになるものですか。 A.はい。 Q.とういう意味で。 A.どの程度良くなったか、また悪くなったかというのの目安になります。 Q.いわゆる数値的に示すことによって本人にフィードバックして意欲を高めて行くと、そういうことでよろしいですか。 A.はい。 Q.甲第16号証の49の最後からゲートスピードの記録を見まして、90年の9月18日からずうっと見て、91年の2月26日の間で、いわゆるリハビリによる歩行態様の改善だとか効果、それはどの程度見れますか。 A.…… Q.その後ろのほうが分かりやすいんですね。 A.はい。まず、日によってかなりムラがあるということが分かります。それでムラはかなりありますが、平均してならしますと、それほど良くも悪くもなっていないということが分かります。 |