2月6日 中野駅前・街頭署名報告
126名(7人・2時間半)集めました
徳見康子
中野の駅頭で、日本字と英字の横断幕・ハンドスピーカー・総勢7名、用意ができた。11時開始。署名活動に慣れている人も最初は緊張している。まだ慣れていない私と介助者M君は、体がカチカチになっているのがわかる。ベテランはじっくり署名趣意書を読み、頭の中で何をしゃべるか整理している。
その間に、私はカチカチの体をほぐすために、マイクを握って趣意書を読み上げた。ドキドキしていたので、趣意書を読み上げるだけのつもりが、いつの間にかベラベラしゃべり出していた。何を言ったか、はっきり覚えていないが「〈脳死〉は人の死ではない」「〈新鮮な臓器がほしい〉ために、脳不全の状態をもって〈死んだこと〉とするものだ」「家族や社会から〈役に立たない者〉〈手のかかる者〉として扱われ、『臓器を提供することによって社会の役に立つ人間になれ』と人に言われ、また自らをそのような構図の中におとし入れて行くことをストップしなければならない」などと言ったような気がする。
次に岩生さんが、「今の医療・薬害被害事件はたくさんあり、これらは、きちんと報道されていない」と語り、また阪大事件・障害者から臓器を摘出して殺した事件(茨城)・移植を受けたための医療被害などの例をあげて、「このような医療現場の問題を解決することなく〈脳死〉臓器移植を進めることは、医療の進歩どころか、すさまじい〈実験医療〉に他ならない。それを認めるための法律が、今開かれている国会に出されようとしている。それに向けて、反対の署名を集めており、現在4000名を超える署名が集まっている」と締めくくった。
次に鷹林さんが、最後までマイクを離さず、「脳死臨調答申と歩調を合わせるように出してきた日本医師会の「〈安楽死・尊厳死〉推進の方針」への批判から始まり、脳死・臓器移植は「〈社会の負担になる者〉として、老人・障害者・意識不明の者は死ね、ということである」と言い、「〈法〉制定は、そのような考えにもとづき、死を国家管理するものである。それはナチス・ドイツの優生政策や旧日本軍の七三一部隊による人体実験と同じ思想だ」と訴える。
署名・ビラまきのほうは、ベテランの中(なか)ちゃんの「つっこみ・かかえこみ・にがさず」で、いつものようにたくさん集めている。がんばり外田さんもすごい。川見さんは、相変わらずのニコニコで、マイペース。介助者のM君は「疲れた」といいつつ、「高校生の女子がビラを取ってくれた。署名してくれるのも多かったが、オシャレした若い人は無関心だった」と観察していた。
私は車イスで、呼びかけに応えて署名に来てくれる人を待つだけ。したがって、署名してくれる人は、「脳死・臓器移植反対」の意志をもっている人が多い。40歳ぐらいの女性は「家族も親戚も医者をやっているが、賛成の人は一人もいない。むしろ、非常によくないことだ、と言っている。私も、医療が、このようになっていくのは、恐ろしいと思う」と語る。また、若い男性は「臓器移植がなぜこんなに推進されるのか、どう考えてもわからない」と言う。私が、「もしバイクで転倒して〈脳死状態〉になったとしても、最後まで助けるための治療をするのがあたりまえ。臓器移植の医療になれば、臓器がほしい、とりたいために、ろくに治療しないことになって、救急医療がはっきり変わってしまう」と言うと、「ぼくもバイクに乗っているから、ねらわれそう……。友だちにも話してやらなきゃ。がんばって」といって署名してくれた。
スペイン語(らしい)で話かけてきて、ビラを持っていった外国人の男性がいた。30分くらいたって、戻ってきて、何やら怒った様子でバンバン言って、ビラを返して戻っていった。言葉が分からないのが残念だが、捨てないで、渡した本人に返して意見を言うのが向こうの習慣なのだろうか。とにかく、こんなこと、初めてだ。
私たちが、「脳死」・臓器移植反対・法制化反対を訴えている近くで、坊さんが托鉢(たくはつ)をずっとやっていた。なぜか喪服姿の通行人が何人も通った(この人たちは一人もビラを受け取らなかった。また、中野区の教育委員立候補者のグループが呼びかけをしていた(この人たちは全員署名してくれた)。
結局 126名の署名が集まった。中には用紙を持って帰って署名を集めたいという人も何人かいたようだ。このように街頭署名は、私たちの主張を直接訴える手段として、有効なので、今後もできるだけ続けたいものだ、と思った。帰りの電車の中で、疲れて寝こんでしまったのではあるが……。
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