「障害者の労働・差別を考える会(障労)」は、1995年、高秀市長時代に、横浜市学校保健会から、「障害者になった」ことを理由に解雇された徳見康子さんの問題をきっかけに、「障害者が働くということ」や「労働現場における障害者の差別」の問題などを考え、「障害者があたりまえに生きられる社会」を目指して設立された会です。
 横浜市は、細郷市長時代の1981年(国際障害者年)に「横浜市職員への身体障害者雇用について――基本方針」を策定し、障害者を「特別枠」で雇用する制度を発足させました。これは積極的に障害者雇用を進める姿勢を示し、国際障害者年の理念の実現に向けた市の取り組みの表れではありましたが、「自力通勤・自力勤務できること」を、職員採用試験における「受験資格」の要件の一つと規定することによって、「健常者と同様に働ける障害者」のみを雇用するものになってしまいました。
 さらに、この条項は、この制度によって雇用された障害者のみならず、(徳見さんのように)中途障害者にも適用されて、「能率・効率が悪くなった労働者(障害者)」を辞めさせる(解雇する)理由の一つにもされています。

 「障労」設立にあたっての「趣意書」の前文は、次のようなものです。

 横浜市学校保健会から、「障害者になった」ことを理由に、本年1月19日「解雇処分」をされた徳見康子さんの問題は、今の社会のもつ障害者の差別・排除の実態を浮き彫りにしたものとして、波紋を投げかけました。
 徳見さんは昨年1月から、職場復帰を求める「自主出勤闘争」をしてきました。解雇日から23日間のハンストは、その後長く身体を苛んできましたが、この抗議の意思表示は、心ある人々に大きなインパクトを与えました。
 徳見さんの問題は、ひとり徳見さんだけの問題ではありません。今の社会は、障害者を養護学校や「施設」などに「収容」し、障害者を「保護」の対象とし、隔離・排除する法律・制度をもつ「能力主義・効率優先」に貫かれています。
 障害者を法の「欠格条項」で排除し、また障害者の雇用拡大をうたう行政自身が、「点字受験不可」や「自力通勤・自力勤務ができること」という規定などを設け、障害者を排除しているのが現実です。
 徳見さんの場合も「自力通勤・自力勤務」という、横浜市の「身体障害者の雇用条件」によって解雇されています。
 また、民間においては、実態に合わない法定雇用率さえも下回り、罰則規定もなきに等しく、「雇用するより、障害者雇用納付金(罰金)を払った方がよい」という企業も多く、障害者が労働の場から排除されているのが現状です。
 一方、労働の場で働いている障害者は、「健常者なみに働け!」「努力して障害を克服せよ!」という形での抑圧・差別を受け、身体を酷使したあげく「障害の重度化」をまねいて退職を強要され、また、不況やリストラの中で、真っ先に解雇されていく人が後を断ちません。
 こうした障害者のおかれている被差別の状況を変えていく闘いの一つとして、徳見さんの解雇撤回の運動があり、他の個別の闘いへの支援と連帯を進める中で、「労働とは何か」を問い返し、障害者が「あたりまえの人間」として生きられる社会の構築をめざして、「障害者の労働・差別を考える会」を結成することになりました。(1995年10月)

 こうして、加藤彰彦さん(当時横浜市大教授)を代表として設立され、主として徳見さんの解雇撤回裁判の支援活動を中心に、「障害者と労働」の問題を軸に、学習会・シンポジウムなどの活動もおこなってきました。
 裁判は、昨年(06年6月)上告棄却となり、終了しました。この裁判の結果が示すように、「趣意書」にある障害者の状況は、10年以上経った今も、まったく変わっておりません。



 徳見康子さんは、1991年に横浜市総合リハビリテーションセンターで訓練中に事故にあい、その責任を追及する裁判(リハ裁判)を、92年に提訴しました。裁判は、2001年、最高裁で上告棄却となり、徳見さんの全面敗訴で終了しました。
 また1995年には、「自力通勤・自力勤務できない」ことを理由に、職場・横浜市学校保健会から解雇されたため、2000年に、解雇撤回を求める裁判(
障労裁判)を提訴しましたが、2005年、最高裁で上告棄却となり、こちらの裁判も、徳見さんの全面敗訴で終了しました。

 このホームページは、2002年春にはじめてアップロードして以来、主として「障労裁判」の記録やお知らせなどを中心に作成してきましたが、裁判が終了しましたので、少しずつ体裁を変更しながら、この二つの裁判の記録や、障害者の労働や差別の問題、障労の活動、徳見さんの生活などを掲載していきたいと思います(2006年春)





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